2019年9月23日月曜日

ヤマを越えて、戸田の町へ

空模様を見ながら出発。首都高、東名、厚木小田原、、、、しかし、いまいちな空と風。


予報が芳しくない。

当初は、雲の動きの位置関係から東伊豆を考えてました。海岸線をたどりながら、どこか泳げて釣りも出来る場所はないかな、、、ところが、向かい風が強まる一方で気持ちが萎えてくる。思い切って半島の背骨の山々を越えよう。風を背中に出来るのではないか。

決断して険しい伊豆の横断、こんな坂あんな坂、上がって降りて、また上がって。ようやく、峠の視界が切れた眼下に戸田(へだ)の街が見えて、、、


なんだこのドピーカンは!

戸田の町へ着いた途端びっくり。下界は雲がすっかりとれて、燦々と降り注ぐ陽光のまばゆいこと。伊豆半島の東と西では天候も表裏のようでして、駿河の海の向こうには薄ら富士の高嶺まで見える好天気なのでした。

街を望む内湾の鳥居には、観光客の方々もちらほら。気温、急上昇。


果たして、今年も一体いつまで泳ぐつもりなのか? 

自問自答しつつもパッパと着替えている自分がいるワケでして、岩場より水へ。

ライフジャケットは必需品だと思います。


やはり、水のなかは、いいですな。

川もいい、海もいい、海には、見たことのない生き物もあふれています。

水中メガネとシュノーケルで広がる、水中の博物大図鑑やあ。

ひんやり、心地よく、水と一体化、地球温暖化対策、いちばんは、ソトで泳ぐこと!


岩場の浅瀬には、ポツポツと熱帯性の魚たち。

海水温がまだ驚くほど温かいので、日本列島の定番的な魚たちは岩陰で休憩中?


戸田は、大きな砂州によって囲まれた内湾のほとりにできた街。

外洋側から転じた入江側は、静かな砂地の海水浴場になっていました。


昨年から同行のヒツジ(釣り執事)と始めた水中撮影。

安価な防水カメラひとつあるだけで、水中で見たモノを記録する楽しみが増えました。

静止画、動画、両方を撮ってみてるのですが、静止画のほうが難しい。

オートフォーカスでも波で揺れてピントが合わず、ブレブレに、、腕です。


こうして、かろうじて、雰囲気としては写っていてくれました。

波に翻弄されにくい内湾ならでは、、、

鮮やかな、濃い空色の魚、ベラの仲間ではないかと言うことでした。

 

納得の浜あがり、、、ひと泳ぎすると溜飲が下がるものです。

戸田の港では、シーズンを迎えたタカアシガニの水揚げが行われていました。

駿河湾での名代のひとつにもなっている深海の蟹、覗いた生け簀。

なるほど。足が長いですなあ、大型は広げると全長3m越えとか、世界最大。


覗いただけ、では味気ない? まだいただいたこともない、、、ということで。

レッツトライ、いただいてみることにしました。脚4本と甲羅がセットという、いちばん安価なメニューを。北陸や山陰の11月のズワイガニと比較すると、とても庶民的なお値段。

意外に、淡白、さっぱり、シャキっとした歯ごたえのものでした。なるほどねえ、なるほど。スリムな足脚を納得させる肉質、ミソを含めた甲羅の中身と申しましょうか。



夕刻、せっかくの西伊豆、戸田の港、ということで、竿を出しました。

港内には係留されている船が多し、当然ロープやブイも多いので、注意と確認しながらおそるおそる、、、私には極めて苦手なタイプの場所ですが、キレイな水に誘われて。

さきほど水中でお見かけした"ブルっ"とくる方々は来ないかしら、、、と。


結果、から申しますと、ブルっ、は、一度もなく。

コン、とか、コンコンとか、そしてグインと引き込む元気モノたち、しまった。

針を大きくしてはいたのですが、呑まれてしまった子もいて、腕だ、うで、ウデ。

ソフトクーラーへ入れてお土産、ソテー、塩焼き、うしお汁、、、


ンンンんっ? なにか視線を感じて、あ、見てます。見つめてます。そうでしたか。

ねえさん、それどうすんの? えっ、1尾2尾じゃあ、持ち帰るにもちょっとってか。

そうかね、東京、道中、長いねえ、大変だ、引き受けようか、それ、白身のそれ。

と、おっしゃってるようでもあり、この若猫殿ふたりに謹呈した次第なのでした。


帰りしな、あれっ! 頓狂な声をあげたヒツジ。

戸田の道の駅に、日帰り入浴が出来ていました。最近の道の駅、この温泉セットが全国的に流行しています。戸田は西伊豆を代表する温泉地のひとつ。最強のコンビでしょうか。

泳いだあとでもあり、湯浴みうってつけと入浴。装備も充実。女風呂は混んでました。それにしても、、、泳いだあとに、蟹グルメ、釣り、温泉。なんと昭和な響き満載な。

初秋のワンデイ贅沢旅行で御座いました。うまし!

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2019年9月11日水曜日

紀伊ハンター2019 Part2 後ろ髪引かれ編

もう一度、那智の滝が見たい。今年2回目の紀伊ハント超特急。紀伊中毒になってます。


午前中の仕事を終えて、ひたすら西へ走る走る!!!

東名、新東名、伊勢湾岸、東名阪、伊勢道、紀勢道、高速道路は紀伊半島の深くまで伸びてきておりまして、半日もあれば遠い街だった尾鷲も日没前に到達。近頃、こうして紀伊半島すらも1日半で"行って帰ってこれる"ことに慣れてきてしまいました。

運転する、疲れる、シートを倒して眠る、起きる、運転する、、これを繰り返していれば持続可能なクルマ旅。行けるトコまで行く。行ってから考える。着いてから次ぎを見つける。天気予報は前線通過を告げてましたが、走り続けました。

着いたなぎさは、まるで嵐の前の静けさ? テント設営で、これから夜釣りらしい家族連れを羨ましく思うものの、今回の目的はもう一度あの滝を見ること!


暗くなった道をさらに西へ南へ、熊野市、紀宝町、そして熊野川を渡って新宮へ。


新宮市に入ったところで、ぱらつき出した雨も本降りとなり、一服。

クルマの運転ばかりでも、おなかは減ってきます。折角だからとここは紀伊半島らしい地場滋養を頂こうと新宮駅に近いこじんまりしたお寿し屋さんへ。

長時間を揺れて揺られてハイな頭の状態でもあり、また切り盛りされるご夫婦のお人柄にも惹かれてオススメと紙で書かれた品目を片っ端から頼んでしまいました。

カツオ土佐づくり=黒潮が洗う町では、主食のような食べ物でしょうか。
エビパン揚げ=エビをすりつぶしてパテとして食パンに塗って揚げたもの。地域名物?
アサヒガニ=南方ならではの平べったいカニ。タテに歩くことでも知られる。
押し寿司=江戸前は握り、上方は押し、四角いシャリが珍しい。
サンマ寿司=紀州サンマは脂が落ちてサッパリ、スダチを載せてさらにスッキリ。

うまし! 目一杯いただいてしまい、そうなると次ぎは睡魔。クルマを停めた場所がその日の寝床になる定例のわけでして、止まない本降りのなかを、運良く道の駅。


コケコッコォォォォーーーーーっ!!!

目覚めると雨は上がっていて、どんよりの空。道の駅の名前は那智。ちょうどJR紀勢線の駅に作られており、駅名も那智。鉄道と一般道のコラボタイプでした。

敷地構内に、軽食喫茶があるものの、朝まだ早し。そこで朝メシ前に、今回の一番の目的を果たしてこよう。雨も落ちてきていない。チャンスタイムだと走り出す。

川筋の道をくねくね、遡りながら、山ふところへ。しかし、雨が落ちてくる! 山の深い紀伊半島は、海岸線では晴れていても、山へかかると雨、、、多雨地帯ですしね。


那智の滝、であります。辿り着きました。

前回(7月中旬)滝を拝見しようと伺った折はたいへんな人出。たまたま火祭りにカチあってしまい、肝心の那智の滝をじっくり見学することは出来ません。滝見マニアとして忸怩たる思いを抱えてしまい、再度訪問を狙っていた次第でした。

自分の立つ位置、その視点の高さと平行する目線の先に滝の落下開始がある魅力。
強まってくる雨の音と共鳴するように轟々と音をたてて、熊野の深山の趣きに浸ることができました。滝は飽きません。

前回の火祭り時は↓こちらもどうぞ。
●紀伊ハンター2019 雨の滝見感動編
http://macobusa.blogspot.com/2019/07/blog-post_20.html

 

那智の滝をあとに海辺へ降りてくる。

国道42号線を西へ進んで那智勝浦の町へ。小雨になったものの降り止む様子もないため、社会科見学・マグロの朝競りを拝見。三崎港とはまた違った和歌山県ならではの風情と申しますか、それは「言葉遣い」だけかもしれませんが、聞き入ってしまいます。

ところで、手描きの「はえ縄漁」の絵が素敵。解りやすい!


お腹が減ったので朝ごはん。
那智勝浦港卸売り場の前にあるビジネスホテルの下は喫茶店。市場関係者の方々が集っていらっしゃるなかへ入れていただきました。モーニング定食はサンマ。

サンマも、紀勢のサンマは脂が落ちてスリムな形状が特長と伺いました。
うまし! 私は正直にトロ系は苦手のため、多少パサついた魚の身が旨いと思うほうです。今年サンマは各地の不漁が伝えられておりますので、より貴重な、うまし!


あら? なにか視線を感じたところ、前のテーブル席から見つめられておりました。

「野良ちゃんが子どもを生んでしもてね、誰か貰ってくれるの待っとるとこなんよ」
とママさん。ちなみに視線の主というのは、オス(元)の地域猫で目下イクメンをしてくれているとのこと。いい顔してます。

紀伊半島と猫といえば、猫好きで知られる南方熊楠さん。猫が暮らしやすい土地なのか?


紀伊勝浦港 市場で見つけた八咫烏のコブシ。買ってしまいました、かわいいので。
「熊野三山、それぞれを詣でて目を入れていってください」とお店の方。案内人のヤタガラスの導くところ、出来ましたら、野良の猫ちゃんたちの平安を祈りました。


この、艶やかな色彩は?
思わず目を見張ったのは展示された小舟のレプリカ、道の駅太地にて。

クジラ、突きんぼ漁で使われた舟は、絢爛豪華、漁に出る男たちの想い満艦飾だったようです。ついに鯨漁を再開させた太地の町、私はゲイカツ復活に期待しております。


ふと見上げた中学校の屋上、ここで、この海抜です、という大きな表示がありました。

地域の避難場所は、まず学校、病院、役場、、津波対策に特別な鉄製の塔なども作られています。予見される東南海、西南海の地震と津波に取り組む地元の方々。水遊び、釣りをする私もつねに意識することを忘れず行動するようにしています。

海にいる時は、つねに、後ろの高い建物、山、どのくらいの海抜かを確認するクセを。そして、どうやって登るかをシュミレーションしておく。


雨の晴れ間、秋咲きの桜が一輪二輪、、黒潮洗う紀伊半島ならではの彩り。

出来れば、ずっと居たいけれど、前線通過、台風北上の報、、、長居は戻れなくなる?
旅は、後ろ髪引かれる、名残惜しいぐらいが丁度いいと申しますが、今回は辛かった。


目星をつけていた古座川か日高川にて泳ぐつもりが、、、、。

串本の町でさらりと折り返して国道42号線、走って走って尾鷲、紀勢道、伊勢道、東名阪、伊勢湾岸、新東名、東名、首都高、、、淡々黙々と帰ってきたのであります。

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