2018年11月30日金曜日

鹿児島 鶴を見て、砂丘を歩いて、猫も見て、釣る!

出たとこ勝負、行きあたりばったり。薩摩、鹿児島、2日間で走れる限り。


コケコッコォーーーーっ、って、朝は確か、なんですけどね。

鳴き声は、コケコッコォーーーっ、ではなく、コウコウコウコウという感じ。

飛んでます、ツルんでる、だから鶴と呼ぶのか、、、と、妙に、感慨も深く。

アゼンとしながら、大きな鳥の飛び交う姿を、口あんぐり、見惚れていた朝なのでした。


鹿児島県出水市、海へ向けて広がる扇状地の水田地帯、刈田の野を歩いていました。

キュンと冷たい空気ですが、陽が上がるにつれて少しづつ暖かくなってきて、、、、。

まわりのあちこちから、コウコウコウコウ、という声が聴こえてきました。

鶴見、鶴川、鶴巻温泉、、、なぜか、神奈川県の地名を薩摩の平野で想い浮かべる?

いまや大都会の神奈川県も、かつては、鶴がたくさん居たのですかね。


ツガイ、ですかね。

仲良くツルんでいます、なにげなくフツーに、こうした微笑ましい大鳥の暮らし。

頭頂部と瞳のまわりが赤い、カナダツルということでした。

北太平洋を越えて、長い長い距離を、毎年このように飛び渡ってくるのだそうです。


目を凝らすまでもなく、色々な種類の鶴が、集まっている様子。

ツル観察所の展望台からの風景ですが、いったいナニが起きているのか?

そう考えてしまうほどの、夥しい数の鶴の集積に、アゼン、ボウゼンとするばかり。

出水の方々が、鶴のために、刈田に脱穀後の籾殻を撒いて与えているということでした。


で、一斉に飛び立つと、空はこの様になる。

翼のシルエット、羽ばたく、滑空する、ひたすら、仰ぎ見るのみ、茫然自失。

ツルのマークをつけた航空会社がありますが、考案された方の、気持ちが解るような。

さらに、撒かれた籾殻のおこぼれにあずかろうと、いろんな鳥たちの姿もあります。

愛されている、鳥たち。


飛来した鶴の数は、毎日このようにカウントされているようです。

ナベツルが圧倒的なようですね、カナダツルは4羽。

ということは、とても希少な来客にお会い出来たということのようです。

♬ラブレターフロームカナ〜だあ〜〜〜〜やめとこ、私らの歳はカナダと聞くと、つい。


ツル観察所の駐車場売店で購入した、フライドおさつスナック、揚げたて。

さすが本場、ライトでおいしい食べ方を知っていらっしゃる! うまし!

さらに、売店のおじさんが、熱狂的な磯釣り師であることも判明して話しも弾む。

ブリがお好きなのだとか。

「あと行ったことのない島は佐渡島だけですけん」「ぜひ行かんばですよ寒ブリ!」


ツル飛来地の水田を、高台から見下ろせる場所にて。

川、扇状地、水田、その先に広がる不知火海(八代海)と遠くには天草の島々が浮かぶ。

のどかで、よかとこ、ですね、ここからの同じ目線を、悠然と大きな翼が飛ぶとです。

ああ、見てよかった、来てよかったと、感動すること、しきり、でした。

しかし、問題がひとつ、北西の季節風が強烈で、海には白ウサギも、飛びまくり!!!


高台の傾斜には、黄色い実がなっていました。

柑橘に詳しくないのですが、ポンカン、かな? 

丘の低い場所は、今年の塩害を受けてか、枯れていたのも少々。

八代海の海辺に沿う道筋を、南下していきました。


八代海と、東シナ海を分ける海峡筋が、黒之瀬戸。

海峡の向こうに浮かぶ島が、薩摩長島です。

薩摩長島は、ほとんどが熊本県に所属する天草諸島のなかでは、数少ない鹿児島県側。

九州本土側(阿久根市に入る)とは、橋でつながっていました。


その黒之瀬戸にかかる橋を渡り、道の駅、およびお昼なので向かいにある食堂へ入店。

薩摩大島の、農作物や、西南九州ならではの、キビナゴ、これは釣り餌にも良好とか。

アラカブ(カサゴ、ガシラ)のから揚げをいただきました。

サイズがちょっと小ぶりなのは、人気魚の需要ゆえに致し方ないところでしょうか。


黒之瀬戸は、抜群の景観、とうとうと流れるまさに黒く見える潮。

コマセカゴ、サビキ、ウキのついた仕掛けを投げ入れる釣り人と、観客の図。

アジ、ちいさなクロ(グレ・メジナ)などが、釣られていました。

いまの時期は、キビナゴの群れを追いかけて通過するブリの姿もあるそう。

しかし、海峡を抜ける風は強烈で、竿を出すには尻込んでしまう。


薩摩長島の島内集落で展示されていた竹で作られた帆船。

今年閉校となった小学校の記念製作という表記がありまして、竹束船の帆船仕様とか。

かつての、隼人や熊襲、水軍、、、、日本先住民族の知恵と意地が凝縮された感ありで、

思わず隅々まで見入ってしまうほどの見事な出来映えでした。感慨深く。


海岸線をなぞる道をあちこち走って、季節風を、なんとか避けられる入江を発見。

時刻は遅い午後になっていましたが、仕掛けにエサをつけて投げてみました。

入江は、細長いV字形で、奥になって少し太くなって折れ曲がっている。

ここだけが、時折、風は吹き込むものの、なんとか、釣りをする気持ちになれました。


アタリは、頻繁、でした。

仕掛けが底について数秒もすれば、なにかしらのサワリ、魚がエサを食む様子が伝わる。

いい感じ、、、いい感じ、なのですが、いかんせん、あの方の、ブルっとか、ブルブル。

そう、いつもは、ブルっとくる(きて欲しい)あの反応がとれないのです。

そこへなぜか見られている視線が、、、ここにもツル? いえ、アオサギ氏でした。


移動中、たまたま、こちら。

大物の取り込み、大捕り物を目の当たりにして、思わず撮った1枚。

父と息子さん、もしかしたら、おじいさんとお孫さん。

護岸堤防の下の敷石の規模が大きくて難物、手に汗にぎる攻防戦でした。

玉網の中身は、大きなチヌ、だったような。そう見えました。


長島の道端に生える草花の可憐さ。

赤紫のアザミ風?は園芸種、なんという名前でしょうか。

黄色い花のツワブキは黒潮の影響する海岸線ではお馴染みで、この季節風の季節が盛り。

石蕗、と書いて、ツワブキ。硬い岩盤に割って生えて、咲くしあわせの花。よしっ!


と、できるだけ、風を避けられる入江、位置を探して動き、夕刻まで投げました。

結果、まず、グーフ君、つよし! 砂地なら、チャリコ君、圧倒的多数!

ブルっと来ない、居ないの? それともいまの時期の、まったく検討違いに投げてるの?

長島に留まる時間のリミット、吹き込む風も強まってきて、おいとまと相成りました。


長島からの帰りしな、橋を渡った本土側の黒之浜港で、海峡を見つめる。

黒々とした、まるで原油のように見えてうねる潮の速度に肝を冷やす。

黒之瀬戸とは、ほんとに上手く言ったもので、おどろおどろしくもあり。

近くで、大きな魚が跳ねたのですが、あれがブリ? 

ここから暗くなった九州縦断、国道3号線を、阿久根、薩摩川内、いちき串木野。

延々と走り続けて、南下して行ったのでした。


コケコッコォーーーーっ。砂丘の朝は早く、また不思議な光景を目撃できました。

薩摩半島の砂丘、吹上浜の道の駅にて停車して、仮眠、朝5時前ぐらいでした。

ツヤツヤと輝いていた丸い月が、西南の地平線へと消えていくところです。

沈む月というのは、太陽の日没と同じ様に、空を茜色に染めるのですね。

そして、月の姿がすっかり消えたところで、東の空を眺めると↓


ご来光、東の空が明るんできました。

道の駅に設置された、ご当地ならではの、コノハナサクヤヒメの像、背後には金峰山。

すっかり、日本神話、日本書紀の舞台が整っているのでした。

早くから集合となった少年野球の少年たちが、手を合わせているのが印象的でした。


陽がのぼり、今回の目的のひとつだった砂丘を流れる河川、万之瀬川が姿を現す。

一帯は、阿多地区、日本の先住民族のルーツのひとつとも言われる阿多隼人の土地。

縄文の時代、豊かな万之瀬川の流域に暮らして、狩猟生活を営んでいたとされます。

なるほど、しばらく眺めているだけで、太古に想いを馳せて、少々浸れる風景でした。


その、万之瀬川のエンディングが、吹上浜の砂丘を割って、東シナ海に注いでいます。

河口にかかる橋の上から、川の流れと東シナの遡上する潮のせめぎあいを眺める。

いまの日本の、どこでも見ることのできない、河口、砂浜、ワクワクしますが、、、。

その砂浜へは、ちこっと気合いを入れて歩くことが必要(らしいのです)うう。


吹上海浜公園の駐車場より歩く。

公園内の遊歩道、赤松の植えられた砂丘の小径、とても歩きやすい。

海まで、かなりの距離や難儀を予想していたこととはまったく裏腹なのでした。

砂の大きな傾斜を乗り越えることはほんとちょっと、その先に広がっていた風景とは?


なんじゃ、これは、、、またもアゼン、、こんな場所なのでした。

砂丘の傾斜をくだると、砂浜、そこから砂の干潟、だんだん波がやってくる東シナ海。

写真の、私の姿が確認できますでしょうか? 竿とバケツを持って、歩いているのです。

潮がさしてきているのですが、長靴のまま、どこまでも歩いていけるほど、浅い!

どこまでも、どこまでも、どこまでも、あるいて行けるのです。


長靴を活かして、行けるとこまで行く、そして投げてみる。

私のチカラでは、あまり飛んでないため、とても浅いところに仕掛けが落ちる。

それでも、すかさず、魚たちの反応がありました。

マゴチ、コトヒキ、どちらも、子どもなのですが、ちょっと感心感心。

こんな小さいうちから、浅瀬まで来て、エサを探している、、、感心な子どもたちだな。


左側の前方には、張り出している野間半島、ポコっと飛び出しているのが野間岳です。

薩摩半島も、かなりの先端付近まで近づいているのが解ります。

潮をさしてきた干潟をひたひたと歩きながら、釣りをする楽しさ。

石川県に千里浜という、やはり遠浅の砂浜がありますが、寄せ波のサイクルが違います。

千里浜は日本海なので、波の振幅がゆったりとして、ザザザという感じ。

吹上浜の波は、だんだんだんだん、と小刻みで、リズミカルに繰り返し来る感じ。


露出した海底の不規則なひだを見ても、波のリズムが窺い知れます。

潮の流れが生み出したうねりが、浅瀬を擦るように繰り返して出来たアート模様?

このような砂紋をもった「壁」など出来ると、オシャレな家になるかも。

ところで、本命のブルルっ様は、ここでも不在? 遠浅に、距離不足なのでしょう。

でもなんとなく納得した吹上浜と砂丘探訪なのでした。


あああああっ、ここって、確か本に載ってたあそこ!

野間岬まで足を伸ばそうとした移動中、偶然見かけた自販機のうどん・そばコーナー。

急ブレーキおよび停車、早速ハザードを出してのチェックと相成りました。

阿久根商店という屋号ですが、阿久根さんは製麺所を経営されながらラーメン店も併設。

まさに、吹上浜釣行の「浜あがりの麺」を総なめにする勢いを誇示しておられました。

ふっくらした天ぷらうどん、うーん、九州らしか、うまし!

ちなみに、以前に取材・掲載した自販機レストラン記事は↓こちらもどうぞ!

●私の故郷の近所に聖地はあった! 埼玉県行田市『鉄剣タロー』

●川遊び帰りに、カワウソ並みの大発見! 山口県岩国市『観音茶屋』
http://macobusa.blogspot.com/2018/10/blog-post.html


また同店屋内には、耳切りの地域化猫2匹が同居、おっそわけをねだる(写真一番上)

九州の沿岸部では、漁港、集落を問わず、猫の姿が引きを切らず、ここで今回の薩摩猫。

各所で気になって撮ってみた猫群、猫単独の姿をご紹介いたします。

すべて家猫なのは当たり前ですが、なかには、西表山猫や対馬山猫に通じるような、

ベンガルヤマネコの血筋を持つような体表柄、虎児斑、表情のある者も居るような?

えっ? ただの、アメショーやアビシニアンの雑種ですかね。


野間半島を南側へ回り込むと、険しかった季節風はすべて背中側へ。

太陽も燦々として、汗ばむ陽気になりました。緯度は、足摺や串本より南の31度近く。

鑑真和尚ゆかりの秋目港という小湊にて、そろりそろりと探っているうちに、ねむし!

雰囲気的には、ブルルっ様がおられるようなのですが、ゴン、ゴン、ゴンとグーフ君。

あっ、また針なし、結び直して、ねむしを抑え、、また針なし。


天気のよい日は網を干す。

その網目の大きさといったら! なにを獲るのでしょうか。

カツオ、ブリ、ヒラマサ、カンパチ、どかーんと来た魚群を捉える大網かな。

周囲を歩く猫たちが、干された網を避けてあるく行儀の良さも印象的でした。


鑑真和尚が出てこられたので、その遣唐使時代の一番港として栄えた坊津(ぼうのつ)

坊津港を過ぎて、東側の海洋に現れたのは、富士山。

その流麗なカタチから薩摩富士と呼ばれる名峰の開聞岳でした。

そろそろ、本物の富士山の、さらなる東側へ戻る時間が刻々と迫り、ちこっと寂しく。


旅のおわりは、枕崎。

なんだか、港町ブルースみたいですね。♬みなとぉ〜〜〜〜みなと。

歌っている方が、代表的な鹿児島県人ですので、この唄があう、みなと、港町ブルース。

で、終着地ならではの浪漫はあるか。

虚しく、グーフ君の嵐、根がかり連発、帰ることにしました。♬みなと〜〜〜。


美しい日没でした(やはり旅の終わりは鹿児島か?)

帰途、高速に繋がる指宿スカイラインの錫山付近から見た桜島と市街地、錦江湾。

暮れ行く空に、たなびく煙、ああ、鹿児島初冬の風情、カルカン、買おうかな。

ところで、薩摩人が主役の大河ドラマも、いよいよ佳境、フィナーレですね、感慨深く。

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