暖かい土地を目指して西南へと進路をとってみたのですが、、、、、、、、、、、、。
羽田から機首をあげたB767-300はすぐに右へと急旋回。
いままで居たターミナルが眼下に見えて、航空機の凄まじいパワーを実感するところ。
快晴の東京上空からは、はやくも富士山が見えてきたりしてました。
高知空港からレンタカーで約30分。桂浜。
看板には、月と竜馬の桂浜。高知近郊の有名な観光地ですが、目もくれずさらに西へ。
第1投は、仁淀川の河口なのでした。
とはいうものの、ナニかを釣ろうという意気込みはでないのです。いまの季節ですから、さすが仁淀川でも魚たちの活動は難しい。本音を言えばナニがが触って欲しいのですが、仕掛けにエサをつけて入れてみてるだけで満足なような、、、、。
贅沢な時間です、つくづく。
水質日本一になったこともある仁淀川。
高知市民のこころの拠り所でもある大河川。河口は想像どおり雄大でした。
竿先はピクリともしませんが、仕掛けをサビいているだけで幸せな景観。
驚いたのは前方の対岸。大木が川面に突き刺さっているのか?
いえ、その大木が動いているでありませんか! 目を凝らしているうちに判別。
釣り人でした。2月の川に立ち込んでいる。背後にはその彼の逗留しているとおぼしきテントやクルマたち。近づいてきた初老の方が教えてくれました。
「40人ぐらいいるかなあ、夕方になるとみんな出てくるよ。アカメを狙っているんだ」
アカメ=レッドアイ=日本にいるパーチ族ですね。四万十川も有名ですが、さすが高知。
「ずっと暮らしている人も居るよ。みんな取り憑かれているんだ。若い人もいるよ」
その初老の方も、クルマには生活道具一式と数本のルアーロッド。
さすが高知、なにもかもが違う。クルマに棲んで、釣りを続けている!!!
驚いた景色その2。
仁淀川と太平洋とが接続する付近には、ブルーシートのテント群がびっしりと並ぶ。
ちょっと異様な光景、、、、これも釣り人の簡易施設か?
竿を畳んで近づいてみたら、、、、、、、。
犬の散歩をしている人から「シラスウナギ」を獲る職漁者のテントと教えられました。
簡易宿泊用および選別小屋、および資材置き場なのだとか。夜になると遡上してくるシラスウナギを掬う人たちで、河口はヤッチャ場状態になるとか。
まさしく夜茶場。
その光景を見たい気持ちもありましたが、今回はいつもに増しての強行軍。転進。
高知市街に近い、浦戸湾の湾口部まで戻る。
桂浜と対岸の種崎海岸にかかる浦戸大橋は、修復作業中でした。
静かな湾になかでは、ウキ釣りを楽しむ方々。
この季節ですから、寒グレ、寒チヌでしょうか。市民の身近な釣り場。
種崎海岸では、カップルが竿を出していました。
スマートフォンでお互いを撮りっこ。いい光景だ。さすが高知。
そのお隣、すこしあいだを空けて投げてみる。湾口部は小さな海峡のよう。
しばらくして、痛烈なアタリがあったのです!!!! やった!と思ったのですが、、。
結果はカラ仕掛けを引っ張ることに。残念。ここで日没。
今度は高知市街から一気に東へ走ります。真っ暗になった路を東へ東へ。
室戸岬手前の田野町の道の駅に草枕を決め込む。
道の駅から奈半利川を渡って奈半利町の飲食店にて、クジラのたたきをいただく。
前回の平戸島に続いて鯨づいてます。銘酒・酔鯨の土地ですからね。
ひとつ感じたことは、「たたき」として食べる文化は、ご当地のカツオとクジラは、ほぼ同時進行として今日まで続いてきたのでは、と。
クジラの獣肉感が、強い酸味の効いたタレのおかげで、じつにまろやかで、おいしく。
カキフライを頼んだところ、ポテト、タルタルソースに加えてケチャップ。
牡蛎は大きく、あしらいも豪快。さすが高知。と、ついつい酒精も増えていき。
ほうほうの体で、草枕を結ぶ道の駅へと戻った次第なのでした。
コケコッコーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!
目覚めた道の駅「田野駅屋」は、国道と鉄道が共通で使用。
1両のジーゼルカーが発着していき、母屋は地域の集会場の趣き。
地元の年配の方々が、朝早くから、野菜や柑橘類、干した魚などを持ち寄っていました。
なんて素敵な道の駅。ツーリング中らしいライダーもシュラフで仮眠していました。
田野町は「維新の街」宣言をしていました。近在からは、中岡慎太郎を輩出した土地。
竜馬とともに命を落とした陸援隊の棟梁。既存の膠着状態に、熱いテーゼで挑みたい。
この道の駅には、そんな地域の方々の想いが集積しているようでした。
仁淀川と並んで目的地のひとつだった、奈半利川の河口。
ただ残念なことに、河口付近は河川改修工事のまっただなか。
とりあえず、竿を出そうと河口に築かれた堤防を目指します。
荒く組まれた波消しブロック。その上はまことに歩きにくいものですが、
地元の有志(釣り人でしょう)の方が木材で足場を作って木道のようになっている。
さすが高知。その、釣りへの熱へというものまで伝わってきます。
堤防の突端部より投げる。朝陽を浴びてツヤツヤと輝く太平洋。
正面前方が、室戸岬の方向。風はありますが、寒く感じることはなく、さすが高知。
南国・土佐、黒潮の海流を感じながら、仕掛けをサビきます。しかし、アタリといえば、
なにもなく、ひたすらなく、触ることもなく、エサはそのまま戻り、またエサをつけかえてもアタリは一向になく、時間だけが刻々と過ぎて。
でも、とてもとても、贅沢な時間、、、、、、、、、。
堤防の傍らに作られていたマイ釣り座?
壁面に座席をつり下げて、出来るだけ水面に近づいて釣り(もしくは漁?)をするためのモノのようですが、一体ナニを獲るのに使うのか?
気になる、とても気になるマイ釣り座。
帰りの時間も気になりだして、高知空港方向へ戻ることにしました。
国道55号線ぞい、見つけてしまった峠そば。速攻、ウインカーを出してしまう。
高知でもそば。看板娘とおぼしきメス猫が、ごろにゃん横倒しで迎えてくれる。
峠そばは、普通の「かけ」の様相に見えました。
普通でないのは、薬味に柑橘系が刻まれていること。さすが高知らしい!
ツユはあっさり風、麺にはもちもち感あり。何度かいただいた西国の蕎麦の印象でした。
帰り道、安芸という地名にピンときて立ち寄る。安芸キャンプ。阪神タイガースですね。
しかし最近は、1軍は沖縄へ行ってしまい、少々寂しい観客とか。
港は、高潮、津波対策の高い壁で、海がなかなか見えまへん!!!!
高台から眺めおろした海岸線。
山々、川、わずかな扇状地、そして海。高知らしいなあ、と感じた風景。
ずっと眺めていても飽きのこない、つくづく、贅沢な時間。 夏はいいだろうなあ。
帰りの飛行機まで、ちょっと時間があるので、もう1投を。
「手結」と書いて、てい、と呼ぶ港のなか。クルマ横付けが可能。私向き。
しかし、、、、またいつもの、しかし、、、、、、。
午後に入った土佐湾は、西のほうから強風が吹き込んでくる。ちょうど向かい風。
いくら南国でも、山をかすめて吹き下ろす風はまことに冷たく、カッパを着ることに。
耐えてみたかいありか? 昨日以来の鮮烈なアタリ。忘れかけていたアタリ。
巻いてみましたら、この方。おおおおお、また、いつもの。また、いつもの。
南国土佐まで参りまして、唯一の魚お顔を拝見した、またいつもの。フク来たるか?
手結の港には、なんじゃこれは?という光景も待っていました。
突然、一般道路が逆立ちしているではありませんか! 直下の崖のごとく。
可動橋、とても有名らしいです。頻繁に上げ下げされるもので、踏切つき。
踏切がなかったら、大変なコトになるでしょうね。
空港までのラストラン、ちょっと山側へ冒険。
海から僅かな平地、そして、いきなり急峻な山岳となる。さすが高知。バリエーション豊かなレイアウトを誇っています。棚の田畑ばかりで、農業先人の方々の苦労が偲ばれる。
道端に、灯籠を模したらしい石のモニュメント。四国・中国の農業地帯でたまにみかけるもの。権力者の力を示す意味があったものだとか。
確かに、人力でこれを作るのは大変!!!!!!
棚の田畑はすべて緻密な石組みで段々の状態。その、いちばん上には立派な家屋。
たまたま分け入った一帯には、お殿様のような旧家が点在していました。
さすが高知。関東地方にはない、切り開かれた時代の厚みが伝わります。
メインの帰り道へ戻り、道の駅でつい買ってしまったお鮨。
巻物、稲荷、バッテラ、寒天羊羹、、、、鮮やかな色彩が特徴。
これは、つまり、高知のお鮨。皿鉢料理なのですね。みんなでワイワイやる時の。
子どももオトナも大好きなお鮨。昨夜のカキフライもそうですが、派手にいく、豪快に食べる、そして飲む。
短い時間でしたが、ダイジェストで高知を巡った冬の贅沢なひととき。でした。
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