2015年3月23日月曜日

横須賀うみかぜ公園、春まだ浅しの2連戦

先週、今週、うみかぜ公園を訪問。
春の訪れに期待して向かいましたが、やはり苦戦の2週分のリポートです。


 パキっと晴れた東京の空。三寒四温でグズっていた雲を押しやったような青い色。

首都高速もついスピードが出てしまいますが、そろそろ天王洲コーナーが、、、、、、。

若者よ、急ぐな人生、ストレートだけでない。それはオジサン、オバサンも同じです。


横須賀うみかぜ公園。思ったより、人が居ないことにアゼン。

それもそのはず、後方より猛烈な風が吹き込んでいる。三浦半島の低い山々をかすめて吹き下ろす風の冷たさ、強さ。

おかげで、軽く投げてもよく飛ぶのですけどね。投入点80m(追い風参考)


ん? サビいていた時に、なにか触れたような、と巻いてきてみると、、、。

マコガレイの極小。風に舞いました。魚へんに葉。という文字がぴったりのような。

9号の針が、唇のほんの先に掛かっていたので、ソク放流。よかった、よかった。


このあとは、なんの気配も、前触れも、一切なくなったうみかぜ公園。

天気晴朗なれど、、、の状態。風になぶられるだけの時間になりました。


 短いのべ竿を出して、足元に落としてみたのですけどね。

コツンともしない。目を凝らせば、ちいさなちいさな魚たちが「メダカの学校」状態。

春は来ているのでですけどね、うんともすんとも、なんともはや。

びゅうびゅうする風の音を聴いているのが辛くなってきました。カラータイマー点滅。

クルマに逃げ込む時間の到来か。


 この日は、黒ヒツジことM川さんがご欠席。次男クンの卒業式とか。

3月は親御さんたちも大変です。お隣に先客されていたのは、M川さんのお知り合いOKさん。奥さんとふたりで竿を並べてがんばってました。

しかし、その奥さんも途中よりクルマへリタイヤ。解ります。よく解ります。

折角の休みとはいえ、風が強く、冷たく、よく解ります。私もリタイヤしました。ZZZZ。


私の爆睡中、うちのヒツジ=釣り執事が釣ったシロギス。

久方ぶりに、アタリらしいアタリをとったと喜んでいました。魚へんに喜。

春は確実に来ているのです。でも、これ一尾のみでした。


帰宅後、まず釣れたてのキスを塩焼きに。

20センチ以上あったので、なかなか食べ応えあり。うまし! うまし! であります。


久方ぶりの調理なので、冷凍庫で眠っていた釣魚たちも解凍。

キス、アナハゼ、掛かってしまったミニミニカレイなど。


片栗粉をまぶして、じゅっと揚げる。奮発して、油はオリーブ油を使いました。


揚げた魚たちを、三杯酢にこれまたじゅっと漬ける。いわゆる南蛮漬け。

少年時代、長崎市に住んでいたヒツジは、これが好物。釣ってきたキスをオバサンが次々に南蛮漬けにしてくれたそう。冷蔵庫にはつねにタッパウエアが格納されていたとか。

三杯酢には、刻んだタマネギ、ニンジン、ピーマンも入れるので、野菜もとれて健康的。

うまし! うまし!とハイボールも進んで、この日は終了。


↓翌週の第二ラウンドへと向かうのです。ブログのまとめ書きはいけませんね。
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ヒツジの大寝坊により、大遅延で到着のうみかぜ公園。

風が強まり、雨まで落ちてきて不機嫌になる私。朝は晴れていたのに、、、、、。

ところが第1投目、痛快になるアタリを体感。巻いてきてみて、魚へんに喜。

おおお、気を取り直す。


本日は、黒ヒツジM川さんが登場。ヒツジツイン状態であります。

ところが、天候は悪くなる一方で、風雨ともに強くなる!!!!!

近況を語り合うことはできたものの、またまたカラータイマー点滅の私。ダメだ。


私の爆睡中、黒ヒツジ、執念のスタート。しかもダブル。

段差仕掛けでのダブルは初めて、と話していたと、後からヒツジが語る。

サイズには苦笑いの黒ヒツジ氏ですが、やはり、カレイは戻ってきた。春来たるか?

でもね、風に力尽きた2週にわたる連戦、私の願望をこちらに↓



↑ま、向かい風の時はどうするんだ? とツッコまれそうですが(苦笑)

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2015年3月9日月曜日

そして金沢、ラストラン、さよなら、はくたか号

縁あって、年に数度の、金沢行き。パックロッドをしのばせて向かったのですが、、、。


上越新幹線の車内放送がこう告げる。
「本日は積雪と強風のため、お乗り換えのはくたか号は長岡始発となります」

えええっ。通常の越後湯沢でなく、長岡駅ですか? 

着いた長岡駅では、たくさんの人が、はくたか号を撮影していました。


長岡発の、はくたか号は、そう珍しいことではないらしい。

雪と強風は常套の北陸路。ほくほく線の内陸路、海側を走る信越線。状況に応じてのコースの選択を、空模様を窺いながらの運転。これも春先の北陸路を行く、醍醐味といったら鉄道関係者の方々に失礼でしょうか。

そして、はくたか号の運転は、3月13日まで。翌日3月14日からは、北陸新幹線の延伸が開業して、この電車に乗るのもきっと最後になるのです。

はくたか号の名前だけは、新幹線になっても残るそうですが、、、、、、。


一面の雪景色のなかを疾走する、はくたか号。

東京はドピーカン、からっ風。こちらは雪かみぞれ。とりわけ冬は、そこを実感します。


海辺も走ります。信越線、直江津からは北陸線。

日本海は大時化。北西風を喰らって、はくたか号は時折すごく揺れます。

クルマで高速道路を走っている時、横風を受けて、おおっ、となる感じでしょうか。

通常の「ほくほく線」とはまた違った車窓に、新鮮味を感じてしまう。

運転廃止の直前にきて、貴重な体験をしていることに、ちょっぴり嬉しかったりして。


大時化の日本海とは裏腹に、車内は暖かい。

このコントラストが、日本海側を旅する旅情のひとつ、といっても過言でない。

と、、、、ここまでは、平穏な金沢行でした。

急遽、急停止する、はくたか号。どうしたのか? えええっ。


「お客さまに申し上げます。だだいま、強風のため、先行する列車の運行を見合わせております。運転が再開されましたら、順次、進めてまいりますので、いま、しばらくお待ちください」

車内放送。これは、冬の北陸路では、よくあるケース。致し方ないのです。北国の人が、我慢強くなる証拠といいますか。

ここから幾度も停止を繰り返したなかで、たまたま踏切のなかで停まったところを撮る。

上がらない遮断機に、諦めたクルマが次々とUターンしていく。これも日本海側らしい。

結果、金沢には、3時間30分遅れての到着と相成りました。ちょっと、疲れましたが、特急料金が払い戻されるので、なんとなく、強気になって(アホか)そのまま飲み屋へ直行。


金沢には、いろんな食材が揃っています。

加賀と能登、山海の珍味がすべてあると言う人もいます。

私が、これはいいな、と感じるもののひとつ、金沢おでん。金沢は、おでん、です。

関東や関西のおでんとはまた一風変わっていて、透明のツユが特徴でしょうか。

それでも出汁が浸み渡っていて、しつこくないので、いくつでも食べられるのです。


店によっては、注文を聞いてから出汁に入れるスタイルもあります。

それは、高級店。握り鮨みたいですからね。このお店は大衆店。予め浸けこんである。

食べたいおでんを、片っ端からお皿に入れてもらい、食べる。うまし! うまし!

地元のお酒、万歳楽とか、菊姫とか。結構イケるじゃん、わたし。やばし! やばいわ。

カウンターの横には、山口県柳井市から出張で来たというサラリーマン氏。

大島での、瀬戸内海釣り談義にまで発展してしまい、ぶりぶり酔ってしまう。やばし!

釣りをしていると、全国の沿岸のいろんな方々と、瞬時に友だちになる。やばし!


金沢には、ラーメンもあります(あたり前か)

シメで向かったラーメンは、とても有名なチェーン店。ナルト(金沢の人はハベンという)の中央に書かれている8。これがシンボルみたいです。

国道8号線の通る府県には、必ずあるというラーメン店。なぜか埼玉県にもあるとか。

これを、いっきに、ずるずると平らげた次第ですが、この時にはその記憶もないぐらい

の、酩酊、昏倒、つまりは轟沈。大丈夫か、私。

まったく記憶にございませんって、昔、テレビで見たエライ人の言い訳みたいな、私。


コケコッコーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!

目覚めたら、ここは金沢。あたり前か。フラフラしながら撮ってみた市街地。

金沢市片町。繁華街の中心とか。右側には、再開発中のビルの姿が。

そそくさと出発して、途中、釣具店でアオイソメ(地元では青虫)を買って、

いちもくさん海辺へ向かったのでした。


竿を伸ばしたのは、大野川。

海は大時化でとても釣りなどできる状態でないため、金沢港からさらに一歩奥に入った汽水域の河川で投げる。

ムカシは、カワガレイ(ヌマガレイ)がたくさん居たという汽水の河口。さらに、運が良ければ、越冬しているカワギス(マハゼ)も居るかも、ということですが、、、、、。


釣り座は、河岸の奥が公園になっていました。木谷公園。

案内板によると、木谷とは、加賀藩政時代の豪商で、その邸宅のあったところとか。

海運業を中心に全盛期には、日本橋の三井とタメ線級の財力を成して、ブイブイだったそう。加賀の豪商といえば、銭屋五兵衛が有名ですが、その銭屋さえ、若い頃はこの木谷家で修行をしたと書かれてありました。

さすが加賀百万石、なので、あります。しかし、維新になり、時代は変わり、木谷家も本格的に、銀行業、鉱山事業へ進出。

ところが、結果として、三井さんや、今日の財閥の方々に、負けたのでしょうね。新しい時代は、そう甘くはなかった。末裔の方々は、地元のために活躍はしたけれど、規模を小さくして今日に至るというふうに結ばれていました。

栄枯盛衰、世の無常を感じさせる案内板でした。でも、まあ、まだ解りませんよ。これからも、まだ、なにがあるか解らない。

そういう世の中だなあ、と想ったりするのですけどね。


と、、、、前向きに物事を考えて、黙々と打ち返す私なのですが、アタリは一向にない。

奮発して、針にはアオイソメを3つもつけてみたのですが、齧られた形跡もなく。

汽水域らしく、潮の干満で、道糸は適度に流れて、いい感じはするのですけど、巻いて戻した仕掛けには、魚の反応は皆無。

カワガレイとか、カワギスとか、それは、遥か昔の夢物語だったような心情に。


 パックロッドと同時に、カニ網も投げ入れてました。

みかん袋に入れたエサは、コンビニで購入したサンマの煮付け。

前回の津軽にて、釣り落とした(?)モクズガニの遡上を目論見ましてね。

匂いあり、脂ありで、期待の寄せ餌だったのですが、、、、、、、、。


一瞬の根掛かりのち、そのまま持ってきたら掛かっていた牡蛎。

中身がちゃんと入ってました。牡蛎といえば、石川県では能登の内浦の養殖が有名ですが、金沢でも牡蛎は育つ。大野川は汽水域ですからね。

佐渡島の加茂湾のような、とても良好な状態で育つのでしょう。

持ち帰って開けて食べてみるか? 迷ってしまうも、結局、河へ戻しました。

ここで、大野川を諦めて、思い切って海側への転進を決意。


内灘海岸の放水路へ向かう。

途中、内灘駅の踏切を渡ると、懐かしい電車の顔が並んでました。

たしか、京王帝都電鉄の井の頭線の電車ですね。

リタイヤしたあとも、金沢ではまだ現役バリバリで頑張っていました。


内灘海岸へ向かう。

時化状態でした。内灘といえば、五木寛之さんの『内灘夫人』を思い出します。

とっても熱い小説です、いまでも、たまに読み返して、熱くなってしまう。

私ははるかに、若輩の世代ですが、先輩たちの世情や血潮を思い浮かべて、熱くなる。

読後、必ずカラオケが唄いたくなり、フォークルやユーミンや。

『内灘夫人』の舞台となっている、砂丘から見下ろす日本海。


内灘の放水路。放水路とは、内陸側にある河北潟との間に切り開かれた水路のこと。

そこを防潮水門によって堰き止めて、海水と淡水とを分けている場所です。

海側には、防波堤が築かれているため、高波でも釣りは出来る、、、と判断。

アオイソメを、やはり3つつけて投げ入れました。


防波堤の外では、浪の花ができていました。

ここへ風が吹き込むと、空中に舞ってキレイなのだそうですが。

滞留したままだと、ただの潮の泡のようで、なんだか公害の海にも見えてしまう。

でも、これ以上、風が強まるのは困るので、留まっていなさいね。


おおおおおおおおおーーーーーーーーーーーっ!!!

なにかキターーーッ、な図。ついに。

しかし、しかし、また、いつもの、しかし。

ゴミばかりを引っ張る展開の、しかし。

時化の海は、防波堤の内側に大量のゴミを集めているのでした。

かなわんわあ、おもし! おもし! パックロッドでは、キツか。

捨てられた傘まで引っかかってくる始末。

「弁当忘れても傘忘れるな」

これは、北陸地方の教訓だそうですが、私には、弁当のほうが大事やけどね。

気持ちが萎えてきて、お腹が空いてきました。


竿を仕舞って、金沢市街へ戻る。

準常連となっている、浅野川ぞい、鈴見橋たもとの焼肉店へ。

このお店は朝から開けており、夜行バスや長距離バスの運転手さんたちも憩うお店。

80歳を超えたママが、やさしく、快活に迎えてくれる、私にとっても憩いのお店です。


飲みたいものを飲み、食べたいものを食べる。

ママが私の顔を見て即座に、入れてあるボトルと氷、炭酸、、、、まだ明るいのに。

バラ肉、レバー、頬肉、ロース、ホルモン、厚揚げ、タマネギ、ナガネギ、食べたいものを片っ端からガスロースターに載せて、片っ端から焼いて食べる。うまし! うまし! うまし! 白菜の漬け物も、おいしか!

寒風吹きすさぶ日本海から戻ってきたこともあって、次第にぶりぶりと酔っていく私。まだ明るいのに。大丈夫か、私。

金沢には、いろんな食材が揃っています。なかで、やはり、一番は焼肉でないでしょうか。もの凄い焼肉の人気。カニやブリや鮨などは、観光に来られた人に食べさせておいて、金沢市民は、焼肉ばかり食べている。

これが、私の率直な印象なのですが、いかがでしょうか。加賀平野でとれたお米も焼肉にマッチしていていて、うまし! うまし! うまし!

結局、今回も、飲むか食べるかしているだけで、本当に、大丈夫か、私。


帰る時間がやってきました。

金沢駅へ入線してくる、はくたか号。新幹線にバトンタッチの直前とあって、いろんな人が最後の姿を撮ろうと集まっていました。


想えば、縁あっての、金沢行き。

はくたか号には、20回以上は、乗ってきたと思います。

上越新幹線で越後湯沢へ。ここで乗り換えて、金沢へ。戻りも、同じコースで東京へ。

東京〜金沢間には、米原回りを含めて、いろんな経路がありますが、航空機を除けば、最短時間となるのが、上越新幹線とき号と特急はくたか号のコンビでした。

これも、いよいよ、最後か。


入線してきた車両とは別に、待ち受けていた車両がありました。

能登半島の和倉温泉から先着していた、これも、はくたか号。

ここで繋がって、越後湯沢を目指すわけですが、和倉温泉、福井、金沢。はくたか号は、

北陸三県すべてを走ってきたのですね。たくさんのファンが、撮影をしていました。


今日は、遅れないでね。

でないと、上越新幹線に乗り継げないから。新幹線は待ってくれないからね。

これも、はくたか号に乗る時に、いつも胸につかえたところ。

でも、これが最後だと思うと、なんだか、とても愛おしくなる見慣れたボディ。

これまで、在来線では、最速の160㎞を誇ってきたそうです。

フェーン現象で、うだるほど暑い北陸の夏。

厳しい北西の風雪に晒される北陸の冬。

ずっと走ってきた、はくたか号。さようなら、私の、はくたか号。


車内では、記念のカードが配られました。

3月14日の土曜日から、はくたか号は、新幹線の名前になります。さらに、途中駅をほとんどすっとばしていく、かがやき号という超高速列車も走ります。

東京と金沢が、大阪へ行くのと、ほぼ同じ時間になるという新幹線のスピードの脅威。

北陸に、どんな時代がくるのでしょうか。

私には想像もつきませんが、また新幹線の通った時に、金沢を訪ねたいと想います。

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2015年3月4日水曜日

津軽の春、まだ遠く、、、、、

自身三度目の津軽への釣り旅、仕事を終えて新幹線に飛び乗りました。


分かれ行く同行二人。

それまで一緒に走ってきた「こまち」と「はやぶさ」が別れる西陽の盛岡駅。

こまちは秋田へ。はやぶさは新青森へ。

ここからが、より深い、みちのくの旅のはじまりのような気がします。


いささか速度を落とした「はやぶさ号」が新青森駅に着く。

迎えてくれたモニュメントはねぶた祭りでお馴染みの勇壮な姿。

真鯛と山幸彦のコラボにちょっぴりニヒっとしてしまう。これは釣り人の特性?


陽の落ちた駅前には、降り積もった雪が残っていました。吐く息の白さよ。

ああ、やはり青森。ここは青森。湿り気を帯びた冷気が北国を実感させます。


借りたレンタカーで市内の釣具店へ立ち寄り。エサ(アオイソメ)を購入。

町の釣具屋さん。ムカシはどの町にもたくさんありましたね。

おばちゃんが、かなりのオマケをしてくれて、意気も上がります。

そして、真っ暗になった津軽半島への道をイッキに北上。急ぎます。


外ケ浜町平舘の後田港。急行した場所は、HN食堂。

この日は定休日だったのですが、前もって開けてもらっていたのです。

ここへも3度目の訪問。

看板の灯りを消したまま、貸切状態に突入か?


マスターは、弘前の人(右奥)

おかみさんは、半島突端部の、三厩(みんまや)の人。ともに生粋の津軽人なのです。

そして、おふたりには、共通項がある。超のつく、磯釣りの本格派。

みちのくにとどまらず、各地を釣り歩いておられる。若輩の私には、想像もつかない気合いと経歴の持ち主ですが、私の話をうんうんと聴いてくださる。つまり、実り多くて頭を垂れた大ベテランということがよく解ります。

やさしきアニキとアネキの趣き。

釣りはサイコーに楽しい。そして、釣り談義も同じぐらい、楽しくて。贅沢で。

酒精浸透の進行が、みるみる早くなるのもむべなるかな、、、、、、なのです。


イカの刺身、炙ったイカを肴に。

しんしんと更けていく小さな港町、HN食堂の夜。津軽半島、贅沢な時間です、つくづく。


マスターの、お酒へのこだわりは、和洋を問わず。日本全国から世界各地へ。

特注した薩摩焼酎には、お店の屋号が記されていたり。

津軽はまた、酒豪と、演歌の大舞台でもありますものね。

最近、平戸、土佐、、、、大酒呑みの土地ばかり伺っているような気がします。

と、想っているうちに、しどろもどろ、のち、轟沈したらしい。

食堂の小上がりに寝かせていただいたそうですが。


コケコッコーーーーーーーーーーーーーーーっ。

朝です。なぜか布団のなか。

ここはどこだ? 私はなぜここに? 解るのに少し時間が必要。障子を開けると旭日。

海の向こうに、下北半島が見えました。ぼんやりしつつも、ああ、なんて贅沢な時間。


前もってとってあった港で唯一のKD旅館。

食堂からここまでどうやって戻ってきたのか? 記憶がない。

マスターは? おかみさんは? と昨夜のことは心配になりましたが、まずは海へ。

晴れわたっている津軽の海。逸る、こころ。


平舘後田港。気負って振り込むしあわせかな。

対岸の下北へ向けて、海峡筋を狙います。


北側の、津軽海峡を眺めながらアタリを待つ。

予想に反してアタリはある。さすが海峡筋。潮が動きます。ぐいぐいと道糸は動かされ、なにかしらのアタリが。まわりを齧られたエサだけが戻る。

幾度も幾度も。つまりは、生体の反応があることに、一縷の望み。

アタリがあるかないか。魚が触るかどうか。ここに釣りを継続させる気力の有無がかかっているわけでして。


エサ取りの 正体見たり ふくれつら まこぶさ吟ず。

フクさん、あなたはエライ。偉大だ。こんなに冷たい海に、元気なお姿を。

津軽にでもフク来たる。フクだ、春だ、フクだ、春だ、スキップしたくなる。

海へお戻りいただく。


後続して、釣り人が2名来られました。1mもない短い釣り竿。常連さんとのこと。

足元の穴に仕掛けを落としての探り釣り。

しばらくして、茶褐色の魚を穴から引っぱり上げました。


カジカ、ですね。カジカやハゼは種類が多くて図鑑でもなかなか判別できませんがカジカ。クーラーボックスには雪を入れていて、とてもワイルドな感じ。

カジカ、いいなあ。でも投げ竿では長過ぎて、穴の釣りは難しそう、、、、、、。


背後には、カモメが一羽。ずっと佇んでいらっしゃる。

私の獲物を期待するのか? しかし、東風が強まってきて、その冷たいこと!

カモメも諦めて飛び去ってしまい、そろそろ竿を上げるかとなったところ、、、、。


ちょっと重いな、と巻いてきてみたら、おおお、カレイでありませんか。

小さいけどカレイ、フクのあとにカレイ。フクはカレイの予兆だったのか?

ミズガレイ、ミズクサカレイとも呼ぶ種類だそうで、津軽半島の地域性を実感。

小さいので、海へ戻す。

ここでお昼前、溜飲をさげた、というか、お腹が空いてきた、というか。


竿を畳んで、HN食堂へレッツゴー!!! ちなみに同店は朝食からやっております。

昨夜の記憶消失もあり、おそるおそる、暖簾をくぐってみますと、、、、、、、。


「布団をかけたらずっと寝ていたけど、むくりと起きて帰ったわよ」とおかみさん。

「あなたの最初の一杯は大きいのがいいな」と、いきなりジョッキ杯をつくるマスター。

お・は・ず・か・し・い。酔虎、轟沈、爆睡、いつも翌日に猛省を繰り返す私。

しかし、なんて素敵なおかみさんとマスター!!!


お昼のために、用意してくださった大歓待の数々。

その1 クロソイのその場で絞めたお刺身。シコシコした歯ごたえと根魚ならではの上品な肉質は、津軽の海よ、ありがとうございます。


その2 クロソイの煮付け。これまた、歯ごたえを残しながら、とろける濃密さ。

贅沢、あまりに贅沢。感動に打ち拉がれて、その3の、これまた上品な味わいの沖メバルの煮付けを撮り忘れてしまう。しまった。ごめんなさい。

マスター曰く。

「フグもカレイも持ってくれば捌いてあげたのに、、、、」

そんな、滅相もございません、って、以前、アイナメを持ち込んでお刺身にしていただき、ペロリとあっという間に食べてしまったことを思い出す。

バックナンバーにあります。


その4 クロソイのあら汁。クリーンで濁りのない、すっきりしたうしお汁。

ねぎ、お豆腐とのマッチングも素晴らしく、うまか、おいしか、泪がでるごた。


その5 おみやげに、地産のオゴノリ。この味噌汁はたまらんもんですね。

たった3度目の来店なのに、ずいずいと、図々しくなっていく私。

さらに、その6と、連夜の大歓待は続くのですが、その6は本章のラストに↓


今回は、平舘のほかにもう一カ所、訪れたい場所がありました。

HN食堂のご高配を辞して、一旦、半島を南下して蟹田の町を目指す。

道すがら、東風がますます強まってきて、内湾の陸奥湾でさえ白波のたつ様相に。

本州北端の地、津軽らしい海になってきました。


冬枯れの蟹田川の水面に、白鳥のつがいを発見。

カメラを向けると、顔をそらしてしまう。嫌か? シャイなのか? 

ギャラ(エサ)を見せたら近寄ったりするのか、つまらぬことを考える。


目指す目的地は日本海側の十三湊。半島を横切って走っていく。

内陸に入ったところで、面白い場所を通過。

ここでは、津軽線、津軽海峡線、そして北海道新幹線の3線がクロスしていました。

新幹線もあと1年で、新青森から函館へ向かいます。自然の色濃い津軽半島に伸びる高架橋はとても異質なものにも見えますが、半島突端付近には新駅も出来るとか。

この津軽にも、どんな時代が来るのか。

折よく、非電化の津軽線のディーゼルカーが、トコトコと抜けていきました。


十三湊、じゅうさんみなと、とさみなと、十三湖と日本海の接点にきました。

この季節には珍しく、まだ太陽が出ています。

しかし、風はますます強く。暴風に近い。間断なく、吹き曝される。強風の名所?

吉幾三さんの名曲「津軽平野」の歌詞の詩情がよく理解できました。


背後の十三湖は、浅い湖。淡水と海水の交わる汽水域なので、濁った水面が特徴。

「十三」とは、13本の河川が流れ込み出来た湖だからとか。

ヤマトシジミが有名です。とにかく強風下、どこかで竿だけは出そう。出したい!


と、、、、とりあえず河口へ降りて、仕掛けにエサをつけて投げてみた図。

投げ込んでみただけ、正直にはこれが精一杯。湖面を渡って吹き付ける風の強いこと。

立っていられない。息するのが限界。冷たい。ソク回収。と相成ったのでした。

ところが、戻ってきた仕掛けにナニかついていて、それはカニ。モクズガニ。

これは珍しい、写真を撮ろうとしたところでポトリ落ちてしまう。残念!!!

正味20分ほどの釣りでしたが、季節の上向いた頃にまた来たくなる河口でした。


新幹線の時間が心配になってきた帰途。

広大な津軽平野は、また多数の河川と水路で構築された水田地帯。

渡る橋のたもとに、さきほど釣り落とした(?)モクズガニのモニュメントがあしらわれる。

背景の山は、岩木山でしょうか?


岩木山と並んで、津軽人のこころの拠り所のひとつ岩木川を渡る。

しかし、このあたりから新幹線の時間がますます心配になり、いかんね、旅人は、、。

広大な津軽平野のごとく、雄々しく、逞しく、生きんと、、、さしかかる日没。

新青森駅まで、かっ飛んで戻ってきた次第であります。


東京へ向かうはやぶさ号の車中。

楽しみにしていたHN食堂のお弁当に手をつける。炊き込みご飯のおにぎりが、その6。

マスター、おかみさん、ありがとうございます。

例えば、上京する若者が、新幹線のなかで母の作ったおにぎりをほおばる。そして母や父や兄弟たちを想う。そんな気持ちにさせるおにぎり。

津軽の海よ、また来たくなるのが、本当の旅。津軽の春、待ち遠しく。

HN食堂のブログはこちら↓です。

http://hamanoshokudou.blog.fc2.com

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