咲き誇る菜の花。
さすが静岡県でした。東京でも陽当たりのいい場所なら、菜の花は咲いてます。
でも静岡の菜の花は、より一層の迫力、大きさ、花株の密度の濃さ。
ほんのちょっぴりの経度と緯度とで、ここまで違うんか? 西の豊かさを実感したり。
やっぱし箱根峠の西側は違うんかねえ。
とかね、しょっぱなは、こころ穏やかな、のんびりした行程でした。
静岡市街から国道150号線を西へ。
さらに焼津の街を抜けて、海側の砂地の浜辺・石津浜へ出てみる。
石津浜という地名は、石と、津(港や浜地の船上げ)、そして、なぎさ。
みんな、揃っているような、素敵な水辺なのですね。やるか? 竿を出すか?
ところが現状は、背後から、猛烈な北西風が吹き下ろしていました。
寒し、寒し、寒し、耐え難きの寒し。かなわんのです。
黒松の防風林のおかげで、そこそこは緩和されてますが、やるか、やらんか?
思案のしどころでしたが、一日の残り時間の関係もあり、さらに西へと走りました。
御前崎港。
服の上下を、いつもの防寒ウエアに着替えて投げ釣りの開始。
おろしてくる北西風や西風を背中にする位置、出来るだけ深い場所を狙う。
こういう静止の画像ですと、伝わりにくい。
水面は穏やかには見えるのですが、時折、背中をドーンと蹴られるような突風。
かなわん、埠頭に積まれている細かな砕石からの塵や粉が凄まじく。
戻ってくる仕掛けは、エサそのまま、針の先には気持ちの悪い黒い帯。
まるで、真っ黒なトロロ昆布のような海藻が絡みついて戻ってくる。気持ち悪し。
ほとほと、辟易、嫌になってきました。強風が冷たいし。
早めのお昼に立ち寄った、水産資源を主軸とした観光施設。
御前崎で賞味できる魚介の数々が並べられていました。
赤い魚、黒い魚、赤と黄色のまだら。いろいろ獲れるようです。
岸部からならもっともっとの自己努力で釣る、どうしても釣りたいなら船に乗る。
そんな印象を受けた、御前崎港。
あ、ちなみに、岸部でも、コマセを撒いてのサビキ釣りでは、コノシロは大漁でした。
御前崎港の、観光施設の名称は、海鮮なぶら市場。
その、カウンターのみのスタンドでいただいたサクラエビ天そば。
サクラエビ天そば、といえば、静岡県を代表するような存在感だと思うのです。
私は、沼津や富士へ行く楽しみのひとつに、スマル亭の桜エビかき揚げがあるのです。
↑こちらは、もう少しの工夫をお願いしたいなと、、、生意気でしょうかね。
行政という、強大な体制があるからこそ、できることは多々あると旅人は思うのです。
観光施設内カウンターの、最強バージョンらしい、なぶらそば。
御前崎港の、海の幸をこれでもかと積載しとるがね。
エビ天、シラス、カツブシ、ワカメ、、、いやはや、ここまでやられると、味は合切。
うまし! うまし! うまし!
やられました、おいしかでした、うまし、ありがとうございました。
あとは、値段、いまふうでいう、コスパなのでしょうかね。
本州の中心、チューブ、おいしかとは、集まっとることが、あるようね。
気力体力が充填で、強風下。国道150号線を、さらに西へ。
途中、国道150号線から、ちこっと海側へそれてみる。
おおおっ。あれが。中部電力・浜岡原子力発電所。
巨大なコンビナートが、荒涼たる砂丘と砂漠のなかに横たわっておりました。
原発、という文字を、毎日ニュースで見るようになってしまって、もうすぐ6年。
毎日気にはしてますが、原発の、建立の姿を、一度でも見た方はどれぐらいいるのか?
そうこう考えながら、建屋や煙突を、しばし、漫然と眺めてしまったひととき。
天竜川の河口にて。
とにかく、風はおさまるどころか強くなる一方であり、どうしたものだ?
暖かさを求めて、静岡、焼津、御前崎、浜松、、、どこも風が強くてタマらん、がね。
天竜川の河口の中なら、どこか風をかわせる角度があるはずと。
甘かったです、甘かった、、、、吹きっさらしやねん。
天竜川にかかる橋を渡って、浜松市側から投げてみる。
一帯、同行のヒツジ(釣り執事)は、地域の細部にまで詳しいため頼りにはしてました。
とはいっても、西から土手を超えて吹いてくる強風と冷たさ。
遠州のからっ風は、私の毎日晒されている赤城颪とはまた違った暴力感覚と申しますか。
釣り場の後ろにクルマを置いて、風を遮ろうとはしてみたものの。
河原に来ると矢鱈と元気になるヒツジ。
川と海の接触する河口の一帯が好きなようです。全国一律。全世界一律?
天竜川河口に居るであろう、セイゴやマハゼを、なんとか釣れないものかなと奮闘。
でもね、気合いとか、根性とか、精神力だけでは、現実に立ち向かえんとよ。
ああ無情、なあんも、おらん。たくさんつけたエサが、そのまま戻ってくるだけ。
なあんも、おらん。ああ無情。吹き晒されての、人体の耐久性が限界、ああ無情や。
いたたまれなくなり撤収、浜松ICから東名高速に乗って東側へ戻りました。
焼津港で、ラストチャンスを(最後の悪あがき)
本州の中心地の港は、古くからの、遠洋漁業の中枢、大きな船がくる、だから、深い。
深いから、いいのか? 深けりゃいいの? そんなことは解りません。
とりあえず、立ち寄ってみた、焼津港、私には初めてでした。
とにかく、冷たい風になぶられ続けて、嫌気のさす、どうでもよくなってきた一日。
はよ、帰りたい、東名を、はよ家に逃げ帰って、麦焼酎のお湯割りを飲んで寝たい!
静岡県であっても、そんな心境になるのかと、邪険になってきた自分に自己嫌悪。
真冬の釣りは、釣り人の、人間性を芯から炙り出しますね。厳しいですね。
あ。
なんか重いな、ウミケムシかな、だったら嫌だな。
トロロ昆布のような海藻も嫌だけど、ウミケムシだけはご勘弁を願いたい。
とか思いながら巻いてきたら、殻つき固形物でした。
ツブガイ。それも、黒くてキモい黒ツブではなく、本物のツブガイ。
サビく速度をもっと速めようと考えたのでした。
ビンゴォォォォォーーーーーーーーーーーっ。
ブルっときた、思わずサビきを停めた、いま一度こっそりサビく。またブルっと。
ビンゴォォォォォーーーーーーーーーーーっ。
ああ、感動、ああ、感動、ああ、感動。
西北、西風になぶられても、この1尾に救われる。ありがとうね、2月のキスさん。
体格も抜群、見事なボディです。
0尾か1尾の違いを、ますます噛み締めた一日になりました。
浜あがりのラーメン。
焼津港はじめ全国の漁港では、古くからの流儀であると、ヒツジ。
ヒツジは、まったくの船酔い男(自称・船下戸)ですが、先輩たちには恵まれたそう。
胴体の中身のカラになった男に、諸々を充填してくれるのが、港町の食堂店主たち。
私は、自身の胴体の中身など、海洋へ絶対に投棄還元するつもりはありませんし、
港へ戻れば、さらなる温度味覚にあずかりますですよ。
注文したのは、野菜ラーメン(850円、塩味) うまし! オヤジ、ありがとな!
1尾のキスを掛けた喜びと一杯のラーメンの滋味を持って、納得の静岡県回遊でした。
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