ところがいつも通りの限られた時間。
レンタカーで超急ピッチの「釣りさるく」をしてきました。
いきなり水イカ。標準和名アオリイカ。
こうなったのはワケがありました。長崎空港着が18時30分。ここからレンタカーでしゃにむに北上。飲まず喰わず。
ハウステンボスにも目をくれず、早岐の瀬戸、針尾の瀬戸を渡り、西彼杵半島を横断。
向かった先は「崎戸大島」
五島灘に面した大島、牡蛎浦島、崎戸島。いづれも橋でつながっていますが先端の崎戸島に着いたのが21時過ぎ。
右も左も解らぬまま、とりあえず外灯のもとで釣り。イカ釣りになったのでした。
島に一軒のコンビニで飲食を買い込み、エンジンをかけたまま車中泊。
エアコンをかけてないととても暑くて眠れません。蚊にも刺されてしまいよく眠れませんでしたが遅い朝日とともに(九州西端なので日の出が遅い)行動開始。
胸おどる投げ釣り開始となりました。
島と島が狭まる海峡筋を狙う。
水が透き通り、まるでおおきな清流で釣りをしている気持ち。
とても威勢のいいアタリ。
フエダイの子どもでした。緯度や海流の影響なのか、子どもも南方系でした。
ドーンとよく肥えたベラ。ベラの女王の面目躍如?
ご当地では、クサブ、クサビと呼び、とても人気の魚のようです。
さくっと釣り場を変更。
海峡筋の釣りは景色が抜群で飽きない。
でも水深は思ったより浅くて、魚たちは小さい。この時期だからでしょうか。
マダイの赤ちゃんが湧くように集まってきて、あっと言う間にエサはなし。
陽が昇るに連れて、汗のしたたるようになってきました。
掛かってくれる、ちびこいベラ。
エキゾチックな色彩に嬉しくなったりして。汗をふきふき。
崎戸島、牡蛎浦島、崎戸大島は、かつては海底炭田で栄えた島々。つまり炭坑の島です。
道路は立派だし、主要な港にはかつての隆盛を誇った施設があちこちに見え隠れ。
いまは、戻ってきた自然に風化されていくような情緒もありまして。
もっと時代を遡れば、キリシタンの歴史にいきあたります。
現在は、傾斜地の集落のなかに突然天主堂(カトリック教会)が現れる。
付属幼稚園の開園時間にも重なり、送り届けの保護者のみなさんからいぶかしげな視線をあびる釣り人。
撮影には注意が必要です笑。
それでも天主堂からは、穏やかな五島灘がみおろせる。
ゆるい潮風に吹かれて、いいとこだなあ。それでも、朝から照りつけの厳しいこと。
ちいさな港の潮溜まりにて。
魚たちがラジオ体操をしていました。マアジ? イサキの子ども?
ポトリと小石を落とすとみんなエキサイトしてくれます。
いいとこだなあ。陽はぐんぐんと持ち上がってまいりました。転進です。
3つの島々に別れを告げて、西彼杵半島を南下。
大瀬戸町から下った雪浦の浜辺。長崎県では数少ない幅のある砂浜のひとつだそうです。
浜辺の端には、こちらも数少ない清流の雪浦川。河口となる砂浜には、投げ釣りをする人がふたり。
でも、ここはパス。暑くて、砂浜を歩く勇気が湧かず。
雪浦川をちょっと遡ると河岸段丘にわずかな水田。
丘陵と海辺の近い長崎県では、こちらも数少ないお米のとれるところだそう。
苦労して水田を作った昔の方々の苦労が偲ばれる里山でした。
ふたたび雪浦川の河口に戻って投げる。
ここでもマダイの赤ちゃんが乱舞。なにもしなければエサだけ食べてくれます。
これでいいんです。エサを食べさせながら、育てながら釣る。
九州に来ると、太っ腹になっていく人間性。これがよかばい!
ただ、とにかく暑いので、崖下の日陰で竿をひきます。
日向はとてもじっとしてられませんが、影に入ると五島灘からの風の気持ちよか。
釣りは相変わらずのマダイの赤ちゃんへのエサやり。涼んだあと転進。
さらに南下の途中、海上に見えた池島。
こちらも海底炭田で栄えた島。長崎には、軍艦島で知られる端島をはじめ多くの炭坑の島がありますが、池島は21世紀まで採掘をしていたことで有名。
まだアジアの諸国から良質の石炭を求める声もあるそうです。
廃坑の島をこうして見つめながら、エネルギー問題を抱える日本をふと想ったり。
前夜、長崎空港を出てから20時間目。
長崎港に戻ってきたのは午後14時。湾口部の神の島の堤防から最後の釣り。
ちょっとフラつき気味でしたが、竿を握ると元気が出てくる。不思議なものですね。
左の奥に見えるのが最近話題になった女神大橋。長崎港をまたぐベイブリッジです。
堤防の後ろには、マリア観音。
長崎港に出入りする船舶の安全を祈っています。この神の島も歴史あるキリシタンの島とかで、真っ白な天主堂がありました。
マリア観音の見つめる先に見える赤いクレーンが、三菱重工の香焼島第二ドッグ。
戦艦武蔵を造った場所だそうです。
中国や西洋との玄関口、キリシタン、戦争、平和な時代。
まるで長崎を集約したような神の島で投げ釣りをしていたのでした。
小舟揚げの傾斜に舳先を並べていたのはペーロン。
中国のドラゴンボートですね。漁村、町内地区、企業、団体。各チームの意地とプライドを賭けたペーロン競争は、長崎のバトルシンボルのひとつとか。
この日南下してきた西彼杵半島のかつて水軍だったエリアが強いそうですが、最近は瀬戸内海からの遠征組もとても強いとか。
五島灘と瀬戸内海、やはり水軍文化は日本の海の男の象徴?
神の島の堤防で飛びかかってきたのはこれ。
エソでした。勇猛な魚ですもんね。そのあともう1尾。飛びかかってきました。
西日がじりじりと額を焼くように照るようになり、ここで釣りはジエンド。
大村湾にある空港までまだ距離もあるため、竿を仕舞うことにしました。
帰りに渡った女神大橋。
この開通で、長崎港の東西の通行が劇的に便利になったとか。
このまま高速につながるので確かに早いし快適。
でも女神という名前。NYの女神にあやかったのかもしれませんが、いっそのこと。
マリア大橋でもよかったのではと他所者の私は想ったり。
橋上からの長崎市街。
これまで何度か観光でやってきた長崎。市街地に立ち寄らなかったのは初めて。
道はみるみるうちに高速道へ入り、諫早を経て、空港のある大村へ。
22時間で下道ばかりを330キロ走って、釣りをしていました。
釣りなので観光地に寄らないさるくでしたが、いろんなモノが目に飛びこんできて。
また、きたか、長崎。よかねえ、長崎。
で。せめて最後ぐらい長崎らしいものを食べようと、空港1階にある長崎ちゃんぽん、皿うどんのお店へ。
生ビールも飲んで、揚げ麺バリバリ、太い麺をすすり。具のタコやナルトを噛んで。
うまかあ、おいしか。実物は? あっ? 撮るの忘れてました。飢えていたもので。
よかねえ、長崎。また行きたかです。