秋山郷の切明温泉。
知りませんでした。面目ない。なさけなか。です。
苗場山、鳥甲山、あっそう、谷山岳の並びなの?
榛名山と赤城山を見ながら育った私に、谷川連峰は、さらに奥地の、大好きな山の壁。
近いので、麓までは、どんだけ通ったことか!
でも、知らなかった、秋山郷の切明温泉。
秋山郷とは、苗場山と鳥甲山に挟まれた、峡谷の集落たちなのでした。
あの、山壁のむこうの西側の真相とは、こうだったのか!!!
山壁に遮られてきた、南側にいる関東人のわたし、知らんかった!
ここが注目されたのは、1970年代に湧き起った「秘境」「秘湯」ブームだったとか。
フツーの旅では飽き足らなった世代の人たちが、より深く、日本の深層を追い求めた。
秘境とか、秘湯とか、つき詰めると、狭い日本列島は、スグ窮地に立ちます。
行けるか? 行けないか?
そのなかで、東京から近く、誰でも行ける秋山郷は、注目されたようですね。
あ、釣り、こそ、そうらしいです。
誰でも憧れのイワナを釣ることができる!!!
東京から、前夜より出かける釣りポイントだったとのことですが。
↑以上、運転手のヒツジ(釣り執事)からの、聞き書き、といたしまして。
そして当時の注目の一番の理由は、川原に湧くお湯、川湯だったそうです。
河岸には、村営の温泉施設。
スコップをお借りして、森の杣道を歩く。
ところで、わたしは、すでに戦闘モードやんけ(改めて、写された写真を見ると)
足跡によるヌメヌメした泥路を進むこと。
歩くこと約3分で、開けた川原へ出ました。
いい感じです。キレイな水がちゅるちゅる流れている川原です。
幼少の頃、よく連れていって貰った荒川、
長瀞から支流の、秩父の奥の川なども、みな、こんな感じの流れでした。
ただ、ひとつ違っていたのは、、、、。
この川原には、お湯が湧き出ていたことなのです(奥様は魔女のノリでよろしく)
スコップで、砂利を掘る。
砂利を掘ったら、その砂利で土手を作り、冷たい沢の水からガードを固める。
作業は、まるで、町内のドブさらいと、一緒でしたわ。
一服しながら、しばらく足湯、湯水の高まりを納得。
確かに、こんな体験はなかなか出来ないですね。
湧く泉は50度以上なので、快楽が、次第には我慢になってくるのでした。
となったところで、うつ伏せで全身を浸しました。
川の奥底からコンコンと湧いてくる、熱い湯。
川水やお湯、そして、土の成分の臭いがむせ返ってきます。
上体を、伏せたり起こしたり、サイコー、極楽や。
カラスの行水と言われてきたわたくしですが、
外気温と川水による「冷却」で、なんぼでも、いけるがな。
素晴らしい!!!
↑川湯のつくり方で解ったこと。
昨年9月の、和歌山の川湯(熊野川支流)で知ったことを合わせて鑑みまして。
掘った湯船(堀り穴)は、底から、コンコンと熱い湯が出てくる。
そこを、調節するために、上流側には、つねに、川水調節の取水を作っておく。
適当な大きさの石を、置いたり、外したり。
で、カラダもゆだったことで、やってみようとしたこと、イラストにて↓
水中散歩。水中遊泳。
ところが、ここの川水の冷たさといったら!!!
三国峠の、そのまた西側の峠を越えた峡谷の川。
熊野川とは、ぜんぜん違うぞ(当然ながら)
でも、踏ん切りがつかず、足だけ入れたまま立ち往生。
身体は火照っているものの、イケるイケない?
透き通った水が「いつでも来いやあああ」と、お誘いしてくれるのですが、、、、。
あと、5歳、若かったら!
意を決して泳いでみたヒツジの第一声。
こらえ性、がまん性がなくなってきた!
ヒツジの第二声。
身体能力の、即時的な順応性がなくなってきた! 第三声。
小学生の時は11月でも泳いでいたのに、第四声、もういい、アホかオマエ!
とりあえず、10数秒は潜っていましたが、、、、無残。
周囲の若い男女たちの、笑いだけはとってました。
ちょうど出逢った釣り人の方から収穫のイワナを見せていただく。
9月30日で今季は終了、以降は来春まで禁漁とのこと。ラストイワナですね。
「うーん、やっぱ、イワナの川は、真夏でないと泳ぐのはキビシカね」
ヒツジがボソっと口にしましたが、敗残の老兵は、なにも語らんほうが、よかとよ。
秋山郷でいただいた初秋の幸。
右下のマイタケは、天然モノでした。
厚みと匂いが、違う。
はふはふといただいた、天ぷら。
山峡、峡谷、すごい、すごい、ご馳走でありました。
お漬けものとして。
塩蔵のまたたびの実。
これ、一個や二個で、倒れるまで、飲んでしまう。
そんな想像を呼び起こす、またたびの実の味。今回は、自重いたしましたが、、、。
帰途は、鳥甲山の南麓をまわって志賀高原へ出る林道で。
林道といっても、すっかり舗装された安心のロード。
むしろ、ひっきりなしで来る対向車にばかり気を遣いました。
山頂から、幾筋もの水が滝となって降りてきていました。
ちこっと開けた場所で、川原。
ここなら太陽の光もあって、泳げそうです。
ただ、気をつけないと、出没注意とか。
時折、冒頭写真の黒くて大きな哺乳類の仲間が飛びかかってくるとか。
わたしは、思うのですけれど、、、とくに最近、思うのですけれど。
彼ら彼女らの世界に、人間が入り込み過ぎでなかろうか。
希少な秘境とは、すべて、本来、彼ら彼女らの、暮らす里や町、なのでなかろうか。
希少なグルメも、すべて、本来、彼ら彼女らの、必要なごはん、ではなかろうかと。
舗装された快適な林道の脇で思うのも、なんですけど、、、すみません。
高速道路に乗る直前(上信越道)
鄙びた食堂(失礼!)でいただいた、ざるそば。
立ち食いそばばかりの毎日ですが、これは、これで、違う世界観(あたり前か)
フツーの信州そば。激安! 地域の常食、おいしゅうございました。
満たされたお腹で高速に載れば、みるみる近づいてきた練馬の料金所。
秋山郷、切明の湯の湧く川原を、何度も何度も思いだすこと、しきりでした。
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投げ釣りだから出逢う。人と魚、人と人が、水辺・岸辺を共有して暮らすための視点で編集。つねに新しい発見や感動と、魚への愛を忘れないあなたに読んでいただきたい一冊。書店様、釣具店様でも購入可能ですが、インターネットでもお求めになれます。
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