2018年4月19日木曜日

日本の、釣りの、発祥の地は、京都?

京都市内へ行く機会があったため、せっかくだから、初の京釣りをしてみた顛末記です。


鴨川(加茂川)

橋上から、上流側を眺めながら、京都で釣りをする意義? 興味? を考えました。

歴史の教科書で習った平安時代の住居に、『寝殿造り』というのがありました。

位の高い貴族の住居の様式なのですが、そこに『釣り殿』という場所があります。

『釣り殿』は、いわゆる、渡り廊下のエンドの部分で、ドンツクが池だった。

池に、鯉や鮒を放して、水遊びや釣りを楽しんだ場所だったようです。


つまりは、漁獲としての釣りではなく、"遊び"としての釣りが成立した時期と場所。

そこが、平安時代の平安京=京都市だったという点に、気持ちが行きました。

現在では、当然ながら、寝殿造りの"お池"で釣りなど出来ませんが、せっかくの京都。

日本の、釣り発祥の地で、ちこっとだけでも竿を出してみようと考えた次第です。

ちなみに、背後にあるJR線の陸橋上には、煙を吐いて待機中のディーゼルカー。

山陰の倉吉まで走る、特急スーパーはくと号でした。

政令都市、古都の大都会に、エンジンの音のする汽車、京都はやはり素敵だなと。


地域の町内伝言板から知る、伏見稲荷の巡幸祭。

いわゆる、日本三代稲荷を支える、担ぎ手のお祭りらしいです。来る4月29日の日曜日。

京都には、修学旅行、仕事でのおつきあいもあって、これまで20回以上は来ています。

神社仏閣などの著名観光地や、大祭の見学など、だいたい見回ったはずなのですが、

自分でクルマのハンドルを握って走るのは初めて、、、ワクワクしてきました。


伝言板の片隅には、こういう文言も。

うーん、すろどかねえ、奥深い、、、さすが千年都、、、心に刻みました。


ちこっと、お腹が減った(いきなり、はやくも?)

クルマで京都駅のまわりを走り回ると、お好み焼き店、焼肉店が目白押し。

あれっ? こんなに焼き物屋さんが多かったのかと、感心することしきり。

自分で運転して走り回るといろんな発見があります。

「人は見かけによらぬもの」とは、こういうことでしょうか?

そこで、お好み焼き店に入店、まずは、バラ肉と野菜、の炒め物をいただく。

うまし! うまし! うまし! なんだコレは! 激うま、でした。

さすが、千年都、、、いきなり、ラベル違いのうまさ。新発見!


勢いづいてきたので、焼きそばも注文。

イカ、油かすを、トッピング追加しました。

ストレートタイプの太麺に、絡み合う、さらっとしたソース、、、。

うまし! うまし! うまし! いやあ、これまた、なんちゅう、うまし!

観光コースから、ちこっと離れた場所で、京都の、とんでもない、うまし! に遭遇。

元気ハツラツと、クルマを走らせていったわけです。


国道9号線を、折り重なる丹波の山々を縫うようにぐんぐんと西へ北へ。

最初に眺めた鴨川との、東西の逆サイド、京都市内の西側を流れる桂川を遡る。

以前に嵐山の渡月橋の下で釣り人を見かけた記憶から、より上流側に目をつけたのです。

桂川は、嵐山から上流は保津川と名前を変える訳ですが、ひと山を越えた亀岡市の水辺。

河原まで、クルマが横付けという場所を発見して、竿を伸ばしてみました。


河原の、すぐ下流側には、保津川の舟下りの乗り場。

案内の放送が聴こえてきて、その賑やかさが伝わってきます。

東京で買ってきた「サシ」をエサにして、黙々と仕掛けを流す。

行く河の流れはたえずして、打ち返すウキを目で追いかけます。

やわらかい陽射しのさしてきた保津川の河原。

ウキ下の長さを変え、釣り座を変え、京都市郊外の晩春を過ごしました。


ところが、ウキが、一向に、動かないのです。

4月もすでに半ばを過ぎて、川の魚たちが活動する時候のはず?

さわってみた水も、温んできた感じですし、ウキがピクっとなってもおかしくないはず。

河岸を、あっちへ、こっちへ、できるだけ足音をたてないように移動しながら、、、。

それでも、ウキに、一度たりとも反応がなく、、、次第に飽きてきました。

川筋を、変えることにしました。


亀岡市から、まずは京都自動車道に乗り、山をくだり、大山崎JCから名神高速道へ。

京都南ICで降りて、国道1号線を京都市街へと北上して、再び鴨川ぞいを目指す。

五条、四条、三条、二条の中心エリアは、当然多くの観光客の方々が溢れていました。

京都市街めぐりの足の主役は、自転車。自転車店のレンタルも多彩なラインナップが。

とりわけ、白人の方々と中国の方々の利用が目立っておりました。

どちらも、自転車では、負けるワケにはいかないというぐらい、飛ばしておりました!


鴨川も、遡って、京阪電車の出町柳駅の付近。

このあたりは、日本の観光客の方々が目立ってきていました。

私と同世代ぐらいの女性が、橋上、河岸を、たくさん散策しています。

出町は、若狭湾から届く鯖、いわゆる"鯖街道"の終点とかで、鯖ずしのお店が有名。

人気店の前は、長蛇の列になっており、入手するのも大変そうでした。


その、出町の橋上から、鯖ではない、淡水の魚の存在を探す。

流れを凝視、あちら、こちらと、魚影を探してみました。

通常なら、橋の下というのは魚、ウグイやオイカワなどが集まりやすいものです。

しかし、どれだけ目を凝らして見ても、鴨川にも、一向に、魚の姿がない。

河岸を歩く人たちにおそれをなして、隠れているのか、恥ずかしがりやなのか?

それとも、私の、鴨川で魚の姿を見ようなどとは、頓狂な行動なのだろうか?

自問自答したくなるほどの、魚のいなさ加減、沈黙の春なのでしょうか。


あっ。

魚を発見、ついに、姿を見たのは、鯉。ぼやっと、1匹だけで、たたずんでいました。

しかし、背びれの脇が怪我をしており、白く変色して痛々しい。

じっと眺めながら、あの子になにかあげられないかな? とか思ったのですけどね。

麩を買ってきて、あの子の鼻先に投げ落としたら、食べないだろうか。怪我の回復に。

同時に、ああ、鴨川のこの一帯では、釣りなど、とても無理であることを悟りました。


出町には、アーケードの商店街がありました。

野菜、乾物、お茶、衣料品、生活のお店が並んでいます。餃子の王将もありました。

観光色ひとすじのエリアから少し離れることで、京都人の生の声が聴こえてきました。

おばさん「新玉ネギ、今日は100円なんや!?」

おじさん「いつも100円やわ!」

おばさん「ほならちょっと負けてや」

おじさん「負けたら死ぬわ」

おばさん「死なんぐらいに負けたらよろし」

これが、千年都の、本当の会話なんだろうなと、観光客の私は、しみじみ。


天ぷら、の専門の、お店のショウケース。

安くて、とても、おいしそう。これは、みんな、いけるわ、と謳っているような。

海産のネタは、さすがに、値段は張りますが、そこは海なしの京都市街。

それ相応の味はお見せしますぜ、といった格と式、自信と意地が伝わります。

これを買って、鴨川の河原を歩きながらの歩き食いは、さぞ旨かろう。ああ。

行儀の悪いことがしたくなる、出町の商店アーケード。


あちこちウロついたばかりに、またお腹が空いてしまい。

結局、入ってしまったのは、うどん、鯖ずしの、大衆店。

やはり人気店のようで、少々は並んだのですが、相席によってスグ座れました。

注文したのは、きつね丼。卵のかかることない(それは衣笠丼)生粋のきつね丼。

京都では、一般的な食事ですが、出てきたのは、九条ネギの入った仕様700円なり。

若干、観光色はありますが、ひと口を食べて、あああ、ああ。

うまし! うまし! うまし! いやああ、うまい!

上品に出汁の効いた、おあげ、さくっと、ねっとり、味とトロミのからんだ九条ネギ。

ツユのしみたシャリをかっこみながら思ったこと、これは、ハーモニーだ。

バラ肉野菜、焼きそば、きつね丼、、、大衆食でも、観光客を虜にするのが京都?

いや、もしかしたら、京都人がフツーに毎日食べてるものが、おいしいの、かも。


鴨川は、出町から上流は、西へ鴨川(加茂川)、東へ高野川と分かれます。

加茂川を遡りながら、初めて鞍馬山の方向へ分け入っていきました。

次第に、加茂川は渓流の様相になっていったのですが、道が細くて運転も難儀なことに。

最近は、パワースポットとして脚光を浴びているという貴船神社で、遡上を止めました。

こちらも、海外からの観光客の方々が目立ちます。もの凄い人気と、言うべき。

人の切れた一瞬を狙って、名所と呼ばれる石段を、敢えて"上側"から撮ってみました。


貴船神社の崖の傾斜に建つ、張り出しの高館より。

下には、細道を挟んで、渓流の加茂川が見えます。夏は涼しくていいでしょうね。

事実、狭い道沿いには、たくさんの、旅館、割烹、喫茶、土産店さんが並んでいました。

ところで、貴船神社は怨みを晴らす"丑の刻詣で”でも、著名な社であります。

しかし、社務所に「藁人形」が売っているというのは、嘘でした(大笑)

ちゃんと、お賽銭、二礼二拍、一礼、お参りをしてきました。


貴船神社の下の加茂川河岸。

加茂川漁業協同組合の貼り紙に目が行きました。

解禁日の以降、指定の期日にイワナ、と、ニジマスを、放流するそうです。

釣り料金は、5000円、現地での購入の場合は6000円ということでした。

つまりは、釣りをする場合には、ちゃんと、相応の対価を使って楽しみなさい。

これは、ある意味、寝殿造りの"釣り殿"から始まった、遊びとしての"釣り”の文化。

心構え、ルールやマナー、京都はきちんと守っているのかなとも考えました。


加茂川から、鞍馬山を跨ぎ越えることで川筋を東側に変えて、大原の里へ移動。

出町で、上流側で分かれた高野川が、のどかな大原の里山を流れてました。

その水を使っての農作が、春の訪れととともに始まったところでした。

クルマ(軽自動車)があると、煩瑣な京都の街も自由自在で、迅速。

気ままに走り回れることを知りました。しかも、電車やバスを使うより、格安です。

大原は、山あいの集落であり、菜の花がまだ咲いていました。


観光地としては、三千院や寂光院で知られるのが大原。

歌にも唄われるように、♪♪キョウトぉ〜〜、オオハラ、三千回!!!(失礼)

というぐらい、とても人気の高いリピートエリアのひとつであり、私はやっと4回目。

しかし、河原と田畑をウロついたのは初めての事でした。大原にはもうひとつ。

さきほどの出町を終点とする若狭小浜市(福井)との鯖街道がタテに走っているのです。

そこで、以前に、小浜市で購入した水産加工の名店の小桶(小鯛笹ずし用)を持参。

エサ箱としての再利用で、鯖街道の縁を確かめながら、

大原で釣りをしようという目論見もありました。


しかし、高野川の流れのなかでも、まだ魚の姿を見ることもなく。

そもそも、いくら、のどかな大原の里山の里川といえど、自由に竿を出していいものか?

河岸で、心配になってきたこともあり、今日のところは、大原の田畑の見学に勤しもう。

そおいう殊勝な気持ちにもなってきたので、ここはひとつ、育ってきた九条ネギを眺め。

近隣にあった『里の駅』という農協のお店で、溜飲を下げることにしました。

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