夜が明けてきたのは白馬を過ぎたあたり。
新宿から中央道、国道19号、147号、148号のルートで糸魚川を目指す。
東京〜北陸のシタミチを使う常套的なルートのひとつとか。
硬く締まっていた雪が次第に緩んでくると、海が近いことを体感。
始発の電車を見かけた大糸線の南小谷駅。
JRの、東と西を分ける小さなターミナル的な存在とか。
道理で、早朝にかかわらず、カメラ、三脚を持ったマニアらしき人たちの姿。
彼らの目的は、糸魚川側とを走るディーゼルカーのようですが、、、、。
運良く、国道と併行して走る姿を発見!
慌ててクルマを停めて撮った1枚は、ブレブレ。
しかし、この汽車の姿に惹かれるマニアの方々の気持ちが少し解ったような、、、。
雪深い河岸の傾斜を、音もなく走っていく小さなディーゼルカー。
待っていた糸魚川の海は、予想どおり。
重い雲と水平線の境目はなく、打ち寄せる波涛だけが白い。
さあ、どうしたものか?
堤防の内側の隅っこで、風を背に、ちぢこまりながら釣りをする?
冬の日本海では、だいたいどういうコトをするのか、私も解ってきました。
とりあえず、気になっている糸魚川駅前の市街地を見てくる。
2016年12月の大火から1年ちょっと、、、、昨秋にも立ち寄りました。
少しづつですが、区画が整理されて、復興も進みつつ、、、でしょうか。
でも、あまり変わっていないような印象もあり、気持ちは複雑です。
ここで一旦、北陸道に乗り、富山県の小杉ICまでワープ(理由、強風に萎えたため)
庄川と小矢部川の河口に造られた伏木港で、竿を出す。
富山湾を西側へ回り込めば、北西風をある程度はかわすことができます。
理由は、突き出た能登半島が"防波堤・暴風林"の役目をしてくれるため。
このあたりまで来ると、能登内浦と同じ条件に近づいていると言えます。
雪に足あと。
歩幅が大きく、おそらくサギ、青サギでは?
ということは、釣り人のおっそわけを目当てで佇んでいた。
ということは、なにか、釣れるのではと推察。
小さなアタリはある。
なにかがついばんでいる感触もある。
エサが半分以上はなくなって戻ってくるので、期待はする、でも針に掛からない。
つまり、とても小さな生物が食べているのでしょう。
それはそれでもいいのではと、雪踏みしめながら時は過ぎて、、、移動。
移動の途中で食べたのは、ラーメン。
真っ黒な醤油味のラーメン、富山ブラックスタイルと呼ばれるタイプでした。
とにかく、ドしょっぱい!!! 出汁、塩分、醤油の風味、いづれも強烈。
ラーメンを食べながら白飯を食べるのが本物の富山流とか。
雪掻きで大汗をかいたあとに食べたくなる? 血圧の高い人は注意か。
かの銘菓(と私は思っている)のアイスバージョンが売られていました。
雪の上に置いて撮ってみると、さらに食べたくなるような、、、、ならないか!
ミルフィーユ風のバラバラになる形状を包み込み、ちゃんとアイス仕様に変身。
これは、結構ハマル人がいるのでは。
富山湾をさらに西へ。
氷見に近づきながら、島尾海岸へ出てみました。
晴れていると、前方左側に立山連峰が姿を現すという絶景の砂浜。
絵はがきやカレンダーで見たことがありますが、この日は残念ながら、でした。
しかし、砂浜に雪が降り積もっているという景色は、なかなかお目にかかれないような。
砂浜と松林のすぐ陸地側の住宅地を、氷見線が走っていました。
またまた運良く警報機が鳴って、通り過ぎていったディーゼルカー。
こちらは、大糸線を凌ぐ"撮り鐵"の方々で賑わっておりました。
雪とオレンジ色の車体とのコントラストがいいですね。
氷見港にて。
とても日本海とは思えない穏やかな海の表情。
ほんの少しですが雲の切れ間に薄い青空が見えたりして。
左手の赤灯台の堤防でも、投げ竿を出している方がいました。
竿を手持ちして探っていると、、、。
ブルっときた、ゾクっとした、いい感じ、よかったあ、、、まだ居た、居てくれた。
冬になると、この気持ちがこみあげる、、、私も解ってきました。
運良く、もう1尾を追加、、、納得しました。
氷見港といえば、氷見ぶり。寒ブリの代表格のような存在です。
年の瀬も押し迫っていたため年内の漁は終わり、漁港内は静かでした。
地元の新聞で読んだのですが、今年の水揚げはいまひとつ。
なんでも、新潟付近が好漁だったために、群れがそちらで抑えられたとか。
自然魚が相手の定置網漁は、毎年、勝負勝負なのでしょうか。
そうでした、氷見といえば、偉大な漫画家さんの出身地。
この氷見と、お隣りの高岡市出身の漫画家さんのコンビが大きな歴史を創ったわけです。
漁港の施設の壁を眺めながらしみじみと。
無尽蔵の発想を生み出すブリパワーですかね。
とにかく、並べられている、寒ブリの大きなこと!
まるで丸太であり、丸太が大きな群れになって沿岸へやってくる。
ひとつ、疑問に思ったことは、これが置かれているのは道の駅の商店街。
氷見の番屋、なのですが、これを1本丸ごと買う人はいるのか?
それでも、ウロついてみたら、ブリはあらかた片付いており。
つまり、ほとんどが売り切れていたのです。
あとで記事などを調べて解ったことですが、道の駅に並べたのは正解だったとか。
シロウトがクルマで買いにこれるので、丸ごと1本の販売が可能。
もっとも、飲食店の経営者でしたら、シロウトさんではありませんけれどね。
近隣のお店で飛び込みでいただいてみました、氷見産の寒ブリ。
刺身は背の身と中トロの部位、そしてブリ大根。
うまし! うまし! うまし!
氷見や七尾の寒ブリを食べたら、他の寒ブリは食べられないと言われるそうですが、
正直なところ、ほんと、納得しました。檄うまし、呆れるほどの、うまし!
おなかがほっこりしたところで、道の駅でビバーク。
氷見は、寿司店、飲食街、さらに湯浴み処も揃っており、車中泊族の人気も上々とか。
年末とあって、次第にいろんな土地のナンバーが集まってきました。
真冬こそ、車中泊の醍醐味が倍加されるというものです。
翌朝、氷見から国道415号線で能登半島の付け根を横切り石川県へ。
この赤い看板が見えたら、石川県ということになります。
麺類、丼もの、ご飯、豊富なおかず、、、ありとあらゆる食べ物が用意されるスタンド。
一度入ったら病み付きになると評判のお店で朝食をとる。
向かった先は、羽咋川。
2016年の夏以来、ご無沙汰だった河岸で竿を出しました。
海側からの風に耐えられる程度だったことが幸い。
雨、みぞれもなく、恵まれました。
恵まれたといえば、アタリ、さっそくアタってきたヌマガレイ。
ヒレのタテジマ、左目、半身タイガースのサウスポー登場。
羽咋川の、いきなりの真打ち登場に、ヒツジはいたく感動。
その感動とは、絶滅が危惧されるカレイの姿に会えた感動なのですが、、、、放流。
天気がいいと、フットワークも軽い。
投げて、ゆっくりサビいてみていたところ、今度はもっと大きなアタリ。
じつはこのあと、ヒツジは海のほうへ写真を撮りにゆき、私ひとりだったのですが。
河のなかでグングンと走る引きをたぐり寄せてきたところ、再び。
トラジマさん、今度はもっと大きい。
なんとか河岸の水たまりにカレイを入れて走ってヒツジを呼びに行き、撮ったカット。
水たまりは淡水でしたが、たまたま大丈夫だったのは、ヌマガレイだから?
とにかく、針もうまく外れて川へ逃がすことが出来ました。
沿岸魚たちにとって、大切な汽水域、その汽水域の代表的な生活者だったヌマガレイ。
生息が確認できたことが、今回の大きな収獲になりました。
この方、すぐ近所にお住まいのSさんとおっしゃるのですが、再会を果たす。
ご自身で、水際のヨシを切ってマイ釣り場を作り、ほぼ毎日を釣り。
御年70歳になられる地元、羽咋川の番人のような存在です。
ヒツジも再会を喜び、ずううううっと、話し込んでおりました。
Sさんのフラシのなかには、フナと小型のヌマガレイが。
若い頃には、捕鯨船に乗って南氷洋まで行ったというSさん。
いまは故郷の川で、四季の魚と遊ぶ毎日と笑っていました。
ヒノキの枝を沈めてあるのは、エビを獲るため。柴漬け漁。
カワエビは、陽当たりのよい日なら冬であっても動いて枝葉に潜り込むことがあるとか。
ヌマガレイ、をかろうじて残す汽水域の羽咋川ですが、現状は厳しく。
Sさんも大変心配している環境変化の原因のひとつと考えられる河口堰の存在。
日本海〜羽咋川〜邑生潟の連続水域を遮断してしまった防潮水門付き河口堰。
これが装着されて以降、河川、邑生潟の水鳥の数にも大きな影響が指摘されています。
この写真は2015年6月撮影、こちらも参照ください↓
http://macobusa.blogspot.jp/2015/06/blog-post.html
羽咋川を辞したのち、能登さとやま海道にて金沢市内へ。
お墓参りで向かった卯辰山より、金沢市街を見下ろす。
遠くに、ぼやっと日本海、空はまだもっていた12月31日の午後。
そして、カウントダウンとともに迎えた2018年1月1日零時。
金沢繁華街の中心、片町交差点のスクランブルはフィーバーの開始。
交差点の中央で、ジャンプとホップを繰り広げる若者たちと制する警察官。
規模は小さくとも、全国一律、同じことをしに若者たちは集うようです。
1月2日、今度は福井県九頭竜川河口の三国港へ向かう。
ところが、空は明るく、なにも落ちてはこないのですが、風が強い。
堤防、護岸、おおよそ、竿を出せる場所を探しているだけの時間となり。
次第に、あきらめムードとなって、それなら折角だからと近所の東尋坊へ向かう。
♪ジャンジャンジャーン、♪ジャンジャンジャーン←火曜サスペンス劇場の音楽で。
犯人を、なんとか引き止めようとする主人公の行動を再現、、、、
なんてことをしてたら、回りの方々から白い目をされそうなのでやめる。
物凄い風に、これが日本海らしい風情、情緒なのだと、海なし県で生まれ育ちは感動。
福井、越前、折角だからと、越前そば、越前ガニ(本ズワイガニ)をいただく。
越前そばは、辛み大根を溶いたツユをぶっかけで。
越前ガニは、メス(勢子ガニ)に限るということで、確かにこれも納得。
ご当地の、旨いものを食べに来ただけで、再び石川県側へ引き返す。
1月3日、東京へ戻りがてら、新潟の出雲崎から寺泊あたり。
また竿を出そうと海岸をうろつくものの、さらに強まった風、降雨降雪に。
雨、みぞれ、アラレ、雪、、、時々止むために期待を抱くとまた降ってくる。
北陸三県および新潟らしい、積もらず品を変えて落ちてくる空からの使者が恨めしい。
渚には、舞い飛ぶ浪の花、打ちあがる浮遊物。
書かれた文字は、まさにインターナショナル、これらも真冬の日本海の使者?
あまりウロついていると、とんでもないモノを拾いそう?
岩場に落ちる滝では、強風による逆噴射?
風の凄まじさが珍風景を生み出しておりました。
次第に、さすがにあきらめムードとなってきました。
せめて、折角だから魚を見ようと入った寺泊水族館。
これが、大当たりでした、内容充実、地域に根ざした展示魚も豊富。
写真はハオコゼの群れの展示という投げ釣りファンにたまらんスターも登場。
さらに、水際で飼われているペンギンたちが荒天に狂喜乱舞の状態を鑑賞。
必見の寺泊水族館なのでした。
ところで、釣りを諦めて、しおしおと、帰京の途についたところ。
あれ? 風は止んで、重い雲がとれた、、、青空まで見える。
毎回の、お約束のような展開、もちろん、エサはすべて逃がした後です。
初笑いは苦笑い、これが釣り師の常ですね、私もすっかり解るようになりました。
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