沼津は近くて遠い? 寝坊が怖くて前夜から出てしまいました。
まだ行ったことのない沼津駅、および駅周辺を探索してみる好奇心も手伝い。
入場券を買って、南口から北口と、南北に渡って、行ったり来たり。
沼津駅は東海道線の主要駅、線路をまたぐ跨線橋の通路も長いこと長いこと、、、。
駅の南北を、フツーに行き来するには?
駅前に出ての、クルマや歩行者の通る道路は、地下を抜けていました。
こちらは、大きな二層式の地下道、夜なので人通りはまばら、シーンとしてます。
ちょっと殺風景な地下道の景観を和ませようと? あしらわれる壁画の数々。
地元高校生たちの力作が並んでおりました。
港の切り絵風、冠雪の富士山、河川、海岸の風景、
思わず足をとめて、見入ってしまうほど。お見事でした。
再開発のまっさかりだった沼津駅前。
傍らに、居残る小さな飲食店の数々は、いまの日本の地方都市ならではの風情を醸す。
一階が店舗、二階が住居がカップリングされたアリエルスタイルと申しますか。
ちなみに「祇園」のほかには「京極」もありました。
なんとか銀座、どこでも京都、よしっ! これが、いいのだ!
静岡県の大きな港街といえば、焼津と並んで、やはりコレなのではと。
戻りガツオの土佐づくり、、、玉ネギスライスがたっぷり、酸っぱい。
でも、うまし! 血液サラサラ。この味覚もそろそろ今季はフィナーレでしょうか。
コケコッコーーーーーーっ!!!
朝駈けイチバン、お馴染みの巨大海岸、千本浜に出ました。で投げる。
向こうのシルエットは、西伊豆の山々。
冬が来ると、ついここへ来てしまうのは理由があります。
暑くないので、砂利浜を歩き回っても辛くない、そしてカゴ釣りの方々が少ない。
いつまで経ってもノーコンな私は、左右に先客の方がいると、ビビってダメなのです。
願わくば、もう少し、エサのついた仕掛けが飛んでくれるといいのですが、そこは不問。
キュンと冷えた渚で、静かに仕掛けを引きずるひととき。
釣り人の姿、まばら、秋の風景とはうってかわりちょっと寂しげな千本浜。
そこへ、カツカツ、と、つついて、引っ張るような応答が、、、。
えっ! これって、まさか、えっ! もしかして、と思ったところで竿がしなる。
おおおおっ。
波打ち際に姿を現したのは、独特なツノとヒレの持ち主、大本命様なのでした。
まだ居てくれた、、、毎年のことですが、まだ陸地と海の際にこの子が居る。
とても嬉しいのですね、よかった、ずっと居てね、投げ竿で出会える範囲に、、。
運良く針掛かりは、ほんのちょっと、お戻りいただきました。
広く、大きく、果てしなく。そして、ちょっと怖い。
千本浜に初めて来た時の印象は、この「ちょっと怖い」のイメージが優先的でした。
深い駿河湾から急激に迫り上がって出来ているという得体の知れなさ、といいますか。
水打ち際から背後の護岸防潮堤までの落差、幅の広さに、圧倒されたのです。
数回とやって来るうちに、慣れといいますか、少しづつですが、馴染み感覚が重なり。
前後左右、飛び抜けて大きな、太平洋・黒潮ならではの巨大海岸に惹かれてきました。
広い渚で、ふと目に入った興味深い出来事。
なにかしらの理由で、息絶えたダツが渚に打ち寄せられていました。
トンビが滑空してそれをさらうと、追いかけるカラスたち。
トンビは水際がら少し離れた場所に、敢えてダツを落としたのです。
群がるカラスたちを、トンビは着地して見守っていました。
トンビとカラス、この里山の鳥たちには、なにかしらの絆があるのかも?
大本命様1尾以降、まったくアタリの途絶えた私。
地元のベテラン氏と思われる方に、お声をかけていただきました。
「なんかきたかい?」「カワハギが1枚釣れました」「アオイソメかい?」「そうです」
「今日はまったくアタリがないもんだから、竿を置いて散歩してるのさ。こうしてずっと歩いてないと寒くて仕方ないからさ」
ベテラン氏は苦笑いを浮かべながら、渚の汀線をゆっくり歩いていかれました。
私は思うのです、釣れなくても、素敵な散歩道のある、これが最高の、幸せなのだと。
お昼、沼津に来ると飲食も恒例となっているスマル亭へ。
そば・うどんの地域チェーン店では、静岡県東部域の看板ともいえる人気店です。
12時ぎりぎり前に来たので、滑り込みのセーフか。
営業マン、建築、建設関係の方々が次々に入店して、カウンターはヤッチャ場状態。
運良くすぐに着座することも出来ました。
青ネギを「増し」にした、ナス天を載せたおそば。
そして、スマル亭の定番とも言える桜エビ天を載せたおそば。
黒いけどクリアなおつゆと、少々もっちりした麺との妙なる相性? うまし!
と喜んだのもつかの間、今季の桜エビの生育が悪く秋漁中止とのニュースを見ました。
駿河湾の生きた宝石、、、心配です、、、見守っております。
お腹が満たされたところで、今回の沼津行き目論見の、第二部へと進行。
富士山の天然水100%が流れる柿田川公園へ行きました。
この公園の脇を、いつも国道1号線から眺めてはいたのですが、通り過ぎるのみ。
是非とも一度は、湧水の様子や流れている風景を、じっくり、眺めてみたかったのです。
買い求めた資料を手元に、森のなかの見学経路を進んでいきますと。
とうとうと、澄みきった水がゆっくり流れていきます。
近隣には、水道局の建物、民家がポツポツと建っているものの、
シーンと、おおよそ、国道1号線が通っていることなど忘れさせる光景です。
川底から、モサモサと、涌き出している噴水口。
この水は、富士山に降った雨、積もった雪が、地中深く地下水となり、
長い長い年月を経て、、、フローするカタチで湧き出てきているとか。
諸説のなかで、最近は、約10年説が定着しつつあるということです。
いま自分が見ている流れは、10年前に降った雨や雪なのだ、、、。
つくづく、感じ入ることは、これが日本一の富士山の広い懐のなせるワザなのか。
木道の散歩路から、あぜん、ボウゼンと、眺めながら過ぎていく時間なのでした。
時折、視界をさえぎるのは、小さな水鳥、、、川の音しか聴こえてきません。
お声をかけてくださったボランティアガイドの方は88歳。
氏から、今日の柿田川の姿に至る地域の方々の並々ならぬ努力を伺いました。
現況、清流に見える柿田川ですが、高度成長期には、随分と汚れた時期があったそう。
富士山の湧き水は、最高の工業用水でもあり、河岸にはたくさんの工場が建設。
汚れた水をここまで戻してきた過程の険しさを、お聞きして、慄然となりました。
ある、おおきな工場の取水口として使われていたという井戸。
エメラルド色の底から、こんこんと湧き出てくる水の姿に、引き込まれるような。
しかし、かつては、川底にはヘドロが堆積して、それらを舟まで使ってさらった、
だから、こうして、湧き水の井戸の底を、エメラルド色で見せることが出来たのだと。
88歳の氏は、活動を始めて47年とか、じつに41歳から行動してきたことになります。
柿田川の大部分は、静岡県駿東郡清水町を流れています。
こうした自然快癒への行動に賛同した、全国の清水町との絆、、、これは和歌山県。
合併などで名前は変わりましたが、有田川の上流の町の清水町ですね。
山あり、谷あり、扇状地、平野、海へ、その川が汚れたからキレイにする。
柿田川公園を出たあと、柿田川は、下流の狩野川と合流して名前を変えます。
狩野川は、沼津市街を抜けて、さっきまで釣りをしていた沼津湾、千本浜へ。
河岸・川底には、捨てられたゴミなどが見えて、かなり残念ではありましたけれど、
水の美しさは依然保たれているように美しく見えて、狩野川に注いでいました。
山、川、海、、つながりを注視できるのが、釣り人の強みと役目だな、と。
清水町の近隣、三島市出身の詩人、大岡 信さん「故郷の水へのメッセージ」は必読です、泪が出ます。
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●冬来たりなば、、千本浜、沼津、富士川河口放浪
●日本列島中心論・沼津湾千本浜・オマケの久料
●ブログ開設当初の沼津産釣魚料理
●沼津といえばソウダに限る、だった頃の料理、オマケ付き
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